「最高品質」ではなく「最適品質」を
提案できるコンサルタント

―多くの企業の経営に携わってこられた経験から、優れたコンサルタントだと感じられた方は、どのような人物でしたか。

 先の話にも通じますが、経営の原理・原則を知り、経営者の視点で関わるコンサルタントが思い浮かびます。「不易流行」で言えば、不易とは何かをよく理解している。また、現場主義に徹して「よく聞き、よく学ぶ」謙虚さを備えている人物です。業界について素人だとすれば、優れた提案をするには謙虚さが不可欠です。反対に、〝MBAの傲慢さ〞で経営理論を振り回すコンサルタントとの契約を切ったこともあります。

インプリメンタビリティの話をしましたが、私自身の経験でも「最高品質」ではなく「最適品質」の提案をするコンサルタントには納得感が高かった記憶があります。実際、その案件はうまくいきました。クライアントのレベルを正確に把握していたのだと思います。そしてもう一つが、クライアントの波長に合ったプレゼンテーションができるコンサルタント。コンテンツ・デリバリー(表現手法)・情熱は、プレゼンテーションの3点セットですが、それをわかりやすく、覚えやすく、理解しやすく訴える力には、感心させられました。
 

―最後に、コンサルティング業界で活躍を期す人たちにアドバイスをお願いします。

 いままで申し上げたことに加えて言うならば、「PRO意識を持て」と言いたい。前向きに考え(Positive)、自らの責任として行動し(Responsibility)、目標を掲げて取り組む(Objective)。この三つを備えた人を「プロ」と呼び、自分の手と足で稼げる人だと、私は考えます。

学びへの投資も怠ってはなりません。自らを常に変えていく勇気がなければ勝ち残れません。そこで、「英語力+1」とアドバイスしたい。英語はもはや武器であり、武器ならば磨かなければなりません。TOEICならば850点が最低レベルです。プラス1は、もう一言語ということ。いまならば、それは間違いなく中国語ということになります。


新 将命(あたらし・まさみ)

国際ビジネスブレイン 代表取締役社長
1936年東京生まれ。早稲田大学卒業後、シェル石油、日本コカ・コーラを経てジョンソン・エンド・ジョンソン、フィリップス、サラ・リーなどのグローバル・エクセレント・カンパニー6社に在籍。3社で社長職を、1社で副社長職を務めた。「経営のプロ」として現在もリーダー育成などに取り組む。
著書は『経営の教科書』(ダイヤモンド社)など多数。