独自のマーケティング・アプローチ
「ブランディング・グロース」

 企業の成長を実現するには、業務改善のアプローチだけでも、技術的なイノベーションだけでも難しい。特に成熟した日本市場において、その傾向は一層顕著だ。「新しい成長には、既存の枠組みを覆す、新たな競争戦略が必要ですが、その際に『生活者』の知覚認識に着目することで、別の世界が見えてきます。それが当社の提供する『ブランディング・グロース』です」と、同社の8人のマネジャーたちは口をそろえる。

(後列左から)小宮弘行、池田 想、山本曜平、渡邊丈祐
(前列左から)西村啓太、清水慶尚◎、森門教尊◎、栗原隆人
◎はシニアマネジャー、無印はプロジェクトマネジャー


生活者心理を読み取る深い洞察力を武器に、博報堂グループの保有する膨大な独自データベースを駆使して、新たな競争軸をつくり出し、それを最適なビジネスモデルに乗せる。さらに生活者との対話のなかでブランドを磨き上げ、コアなファンとなった生活者が自らそのブランドを成長させていく。同社の特徴は、こうした「ブランディング・グロース」というマーケティング・アプローチに凝縮されている。

生活者の頭の中は、それほど多くの情報を処理できず、だからこそ、市場の第一想起に挙がるポジションをどう取るのかが、従来のマーケティングでは非常に重視されてきた。「しかし、生活者の判断基準は変えられます。そうすれば、飽和し静的であると思われた市場が、一気に動的な市場に変わるのです」と語り、国内市場の限界が唱えられるなかでの可能性の大きさを強調する。
 

ビジネスモデルにおけるイノベーション

 このように事業検討における生活者視点に特色を持つ同社だが、課金モデルも非常に重要視している。同社では早稲田大学ビジネススクールの山田英夫教授と、ビジネスモデルの研究を重ねてきた。「生活者視点でひも解いた新たな事業の提供価値において、それまでクライアント企業が当然と考えてきた課金モデルが果たして今後も最適なのか。そこまで問い掛けることが、成熟市場におけるトップライン(売上げ)の継続的な伸長と、利益の最大化のために求められます」

同社は、研究の成果を事業戦略や新規事業に提供し、ビジネスモデルのイノベーションもけん引している。