(2015年8月29/30日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

核の枠組み合意は「新たなページ」開く、イラン大統領

イランのハッサン・ロウハニ大統領の下で大きな変化が見え始めている〔AFPBB News

 今から数カ月前、何百人もの動物愛好家がイラン政府の環境政策を担う部署の前に集まり、南部の都市シラーズの自治体職員による野良犬の殺処分に抗議した。殺処分の様子はビデオに撮られ、ソーシャルメディアを介して広まっていた。もっとも、要求を聞いてもらえると思っていた人はほとんどいなかった。

 ところが、このデモの参加者は取り締まりを受けるどころか、外に出てきたイラン環境保護庁(IEPO)の幹部職員数人から話しかけられた。

 参加者の中には、「すべての動物に生きる価値あり」「私の国の犬を殺さないで」と書いたプラカードを掲げる人もいた。

 幹部職員は一通り話を聞くと、早速、都市部の野放しの犬の扱い方に関する通達を出した。

 「あれは、飼い主がいない犬を・・・あんな乱暴なやり方で殺すのではなく・・・その数を予防接種などでコントロールしてほしいと当局に要望する平和的な抗議活動だった」。動物の権利を擁護する活動家で、このデモにも参加していたファリバ・マフムード・カライエさんはこう語る。「私たちは、動物をやさしく扱うことを子供たちに教えたいと思っている。犬をあんなに簡単に殺せる人は人間も簡単に殺せると思うからだ」

法的保護を享受するようになったNGO

 過去には珍しかったこのようなアプローチが見られることは、非政府組織(NGO)や市民社会全般に対する体制側の態度が変わりつつあることを反映している。

 改革派のモハマド・ハタミ大統領の政権は、民主主義強化の取り組みの一環としてNGOを奨励した。しかし、政治活動への関与を深めたことが裏目に出て、ハタミ氏の後を継いだ抑圧的なマフムード・アハマディネジャド大統領の時代には多くのNGOが消えていった。そして2年前に当選した穏健派のハサン・ロウハニ氏の政権下では、かつて政治の干渉に弱かったNGOがこれまでよりも強力な法的保護を享受している。