(2015年8月27日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

英BPは記憶に残る限り、2度しか減配したことがない(写真:BP p.l.c.)

 原油価格の暴落で欧州の大手エネルギー企業が株主への配当カットを余儀なくされるとの不安から、これらの企業の配当利回りが急騰し、株式市場全般に対してほぼ30年ぶりの高水準に達している。

 中国の景気減速懸念が引き起こした市場全般の混乱のさなか、今週の原油急落によって国際的に売買されるブレント原油の価格は6年以上なかった安値に落ち込み、石油企業の財務を一段と圧迫している。

 直近の原油安は、業界全体で今年行われているコスト削減と資産売却、数十億ドルの新規プロジェクト投資の延期――いずれもキャッシュフローを強化するための措置――が配当金を守るのに十分なのかどうかという疑問を投げかけた。そのために株価が急落し、配当利回りが上昇しているわけだ。

 実際、懸念のレベルが極めて高いため、幅広い欧州銘柄に対し、欧州石油メジャー5社――BP、イタリア炭化水素公社(ENI)、ロイヤル・ダッチ・シェル、ノルウェーのスタットオイル、フランスのトタル――の株式を保有するために投資家が要求する追加の利回りが28年ぶりの高水準に達したと、バーンスタイン・リサーチのアナリストらは指摘する。

 この大手5社グループの配当利回りは7%に達し、市場全体の利回りの2倍を超えている。

石油大手には1バレル60~70ドルの原油価格が必要

 エネルギー投資を手掛けるあるバンカーによれば、夏休みから戻ってくる石油業界幹部にとって、配当金を守ることが「ナンバーワン」の優先事項になるという。一部の業界幹部はほんの数週間前に、悪化する不況と戦うために新たな支出削減と追加の雇用削減を発表したばかりだった。

 7月下旬に、ブレント原油は1バレル53ドルで取引されており、115ドルという昨年のピークから急落していた。この相場急落は、産油国のカルテルである石油輸出国機構(OPEC)が米国の供給過剰にもかかわらず生産量を減らさないことにした昨年11月の決断によるところが大きかった。

 ブレント原油はその後さらに10ドル下げて1月の安値を割り込んでおり、石油大手の売り上げと利益をさらにむしばむ恐れがある。このため配当金が危うくなりかねないのだ。