(2015年8月26日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

外交的には成功のAIIB、問われる中国の運営能力

中国政府は単なる株式バブルの破裂にもうまく対処できていないように見える〔AFPBB News

 筆者は、「ミスター・マーケット」――投資のグル(導師)、ベンジャミン・グレアムが考え出した躁うつ病患者*1――の行動を理解できるほど聡明ではないし、理解できていると考えるほど愚かでもない。

 しかし、最近のミスター・マーケットは間違いなくうつ状態にある。その背景には中国に対する懸念があるようだ。

 ミスター・マーケットが心配するのはもっともなことなのだろうか。端的に言えば、イエスだ。

 心配する価値があることとないことの区別ははっきり付けなければならない。中国の株式市場の下落は後者にあたる。心配する価値があるのは、単なる株式バブルの破裂にもうまく対処できていないように見える中国政府当局が直面している難問の大きさだ。

中国主導で調整局面に入った株式市場

 株式市場は確かに、中国がリードする形で調整局面に入っている。上海総合指数は6月につけた高値から今週火曜日(8月25日)にかけて43%下落した。だが、それでも2014年初めの水準に比べれば50%高い。ここ10年で2度目となる中国株バブルの崩壊はまだ終わっていないと思われる。

 中国の株式市場は普通の市場ではない。「自分よりも愚かなプレーヤー」に割高なチップを手遅れになる前に渡してしまおうと全員が願っているカジノのような面が、この世界のほとんどの市場よりも強い。そういう市場はボラティリティー(変動性)が極端に高くなるのが常だ。だが、この気まぐれな動きは、中国経済全体についてほとんど何も物語らない。

 それでも、中国市場でいま起こっていることは、関連し合う2つの点で非常に重要な意味を持っている。

*1=そう状態とうつ状態を繰り返すかのように上昇と下落を繰り返す株式市場を擬人化したもの