(英エコノミスト誌 2015年8月22日号)

原材料をむさぼり食った10年は、さらに長い後遺症を残すかもしれない。

10年間続いたコモディティーブームは終わりを迎えたのか(写真はチリの銅鉱山:BHP Billiton)

 スコットランドが「グレート・ドレイン・ロバリー」――ファイフ州でマンホールの蓋50個がなくなった事件――に襲われたのは、ほんの10年くらい前だった。それは、飽くことを知らない中国の需要に駆り立てられた、コモディティー(商品)市場での新時代の幕開けを暗示していた。

 金属スクラップの価格が急騰し、それゆえ金属スクラップの窃盗も急増した。アフリカは中国人エンジニアで溢れかえった。

 オーストラリアは北京語を話す首相を選出した。そしてアルゼンチンからザンビアに至るまで、さまざまな新興国が自国の農地と鉱山の価値上昇を享受した。

 こうした活況は、地面から堀り出されるほとんどのものが値付けされる通貨である米ドルの下落によってさらに刺激された。

バックに入ったギア

 今、そのギアがバックに入っている。復活したドルは、コモディティー価格に打撃を与えている。多くのコモディティーは最近、10年前の水準を割り込んだ。これは他の売買可能な資産とは共通しない運命だ。株式に比べてコモディティー価格がこれほど低迷しているのは、1990年代後半以降なかったことだ(図1参照)。

 米国経済は強くなっているが、中国の寺院から銅鐸を盗んで米国にスクラップとして送るよう窃盗犯を促すほどでは到底ない。

 米国経済の回復の影響は、依然として鉄、アルミニウム、亜鉛など世界の金属の約半分を消費する中国における需要減速に圧倒されている。

 生産者にとっての本当の不幸の元凶は、ほぼすべての原材料で見られる供給過剰だ。それでも生産者は、まるでそれに全く気付いていないかのように振る舞い続けている。