(2015年8月24日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

中国流の災害対応、天津の大爆発には通用せず

中国・天津で起きた大規模爆発の現場〔AFPBB News

 中国の公安部門のトップを務めていた周永康は、多くの罪を犯した。港湾都市の天津で今年5月に行われた非公開の裁判では、職権濫用や収賄に手を染め、さらには国家機密も漏洩したことで無期懲役の刑を言い渡された。

 しかし、こうした罪を重ねていたにもかかわらず、揮発性のある硝酸アンモニウムやシアン化ナトリウム(青酸ソーダ)など毒性のある化学物質を市街地に何百トンも無造作にため込むということはしなかった。

 8月12日に天津で起こったそのような化学物質の山の爆発は、少なくとも114人の命を奪い、習近平国家主席の腐敗撲滅キャンペーンの中核にある逆説をあらわにした。

 筆者はこの悲劇が起こる数カ月前に、工場に出稼ぎにやって来て大けがを負った男性の父親であるチャン・グァンデ氏に面会し、この腐敗撲滅運動とそれによる周永康など「虎」と呼ばれる権力者たちの凋落をどう思うか尋ねていた。

 習近平氏の就任後3年間の代表的な政策の業績にチャン氏はきっと感銘を受けている、と筆者は予想していた。

「虎狩りは人民に見せるためのショー」

 予想は外れた。「あのキャンペーンは一般人のレベルには届いていない」。息子の雇い主に補償金を払ってもらおうと何年も戦っているチャン氏はこう言った。「あの虎狩りは見せ物、人民に見せるためのショーだ。一般人のレベルには、卑劣な小虎がまだごろごろしている」

 反腐敗キャンペーンが成功していると見なされるかどうかは、中国共産党で最強の権力を誇る中央政治局常務委員会のメンバーだった周永康のような大物を逮捕して有罪にできるどうかに大きく左右される。しかし、中国の大半の人々にしてみれば、本当に問題なのは身近にいる公務員による汚職の方だ。