(2015年8月20日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

北、日本時間から30分遅らせた「平壌時間」制定 終戦の日に施行

北朝鮮の平壌で、新設された高齢者施設を視察する金正恩(キム・ジョンウン)第1書記〔AFPBB News

 金正恩(キム・ジョンウン)はすでに中世の暴君のように北朝鮮を支配しているが、彼の直近の奇行は実際に時間を戻そうとするものだ。「卑劣な日本の帝国主義者」に対する勝利の70周年を記念し、平壌(ピョンヤン)の大物は、北朝鮮は日本が朝鮮半島を占領していた時代に押し付けたタイムゾーン(時間帯)を拒絶するために時計の針を30分間遅らせると宣言した。

 エキセントリックかもしれないが、支配者たちが権力を誇示するためにタイムゾーンを変えてきた歴史がある。

 そのような決断が本物の威信を制度化するのであれば、それは巧みに見えるが、威信の代わりになるのだとすれば、剣呑だったりばかげていたりする。

新技術によって誕生し、気まぐれで形作られてきた時間

 タイムゾーンは新たな技術によって強いられたものだが、政治家の気まぐれによって形作られてきた。タイムゾーンが生まれたのは、太陽によって定められた農業の鼓動が工業の単調なリズムに取って代わられた時のことだ。農耕時代の19世紀半ばには、米国には300以上のタイムゾーンがあった。

 鉄道がその後を継ぐと、民間部門の解決策が生まれた。1883年に鉄道会社が現在も存在する4つのタイムゾーンを制定したのだ。

 世界は間もなく、ロンドンのグリニッジ標準時を軸とした経度ごとのゾーンに整理されていった。だが、象徴的なねじれと例外はなお存続している。

 日本が朝鮮半島でやったように、反抗的な民衆に単一のタイムゾーンを押し付けることは、行政効率とともに力の誇示だ。誰も太陽をコントロールすることはできないが、支配者たちは配下の民が太陽を見る量を変えることができる。

 ナチスドイツは征服した西欧諸国に統一時間を強いた。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は昨年、クリミアを掌握した後、同地域にモスクワ時間を導入した。