(写真はイメージ)

 私は現在40過ぎなので、60歳ぐらいになったときにどういう心境や状況になるのかは想像できませんが、こんなふうに素敵な感じになっていたらいいな、と思わせてくれるいくつかの作品に最近出会ったので、今回はそちらをご紹介します。

 海外ではローリング・ストーンズやポール・マッカートニーをはじめ、70歳を超えてもまだまだ現役感バリバリな〈生涯現役〉といった元気なミュージシャンは結構いるのですが、これまでの日本のポピュラーミュージック・シーンでは、若き頃の過去の創作活動を元にした〈懐メロ〉として活動する方はいらっしゃいましたが、新しい創作意欲がみなぎる現役感バリバリっていうミュージシャンはそれほど多く見受けられなかったかと思います。

 しかし最近、そういったこれまでの風潮やイメージを吹き飛ばすかのように、〈懐メロ〉枠ではなく現在の音楽シーン最前線に位置づけられるフレッシュな音楽を聴かせてくれる〈アラ還〉ミュージシャンたちの良作が続々と登場してきています。

今この日本で生きる人に訴えかける『BLOOD MOON』

 最初にご紹介したいのが、先日リリースされた佐野元春のニューアルバム『BLOOD MOON』です。

(*)タワーレコードの音楽レビューサイト「Mikiki」に、佐野元春のロングインタビューと『BLOOD MOON』収録曲の動画が掲載されています。本記事と併せてご覧ください。
混迷する時代だからこそ求められていたロックの衝撃――佐野元春が新作『BLOOD MOON』から〈ロック音楽の本質〉まで語ったロング・インタヴュー