(2015年8月18日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

人民元と円の直接取引、6月1日から開始 安住財相

人民元の切り下げは世界各国に波紋を広げたが、主要国通貨の間では特に円とユーロが影響を受けるという〔AFPBB News

 周りの温度が上昇しているのにそこから逃げることができない――。欧州と日本の通貨当局はそんな「ゆでガエル」のような状況に陥る可能性がある。鍋を熱しているのは中国の通貨・人民元の切り下げだ。

 中国政府による今回の人民元安誘導は、新興国や資源国で輸出業者の競争、自国の株式市場、およびデフレへのインパクトに対する懸念を引き起こし、それらの国々の通貨全般に影響を及ぼしている。

 では、先進国通貨はどうか。米ドルの上昇は、米連邦準備理事会(FRB)に来月の利上げを延期する理由を提供するかもしれないが、複数の為替ストラテジストの見立てによれば、米国経済は人民元切り下げの直接的な影響から十分守られているという。

 ただ、ユーロ圏と日本はそうはいかないかもしれない。どちらも(段階は異なるとはいえ)金融緩和の最中にあり、そうすることによって――間接的にではあるが――通貨安を促し、中国との貿易取引が多い輸出業者を支援しようとしてきたからだ。

 中国の景気に減速の兆候が見える中、人民元安は中国の輸出競争力を高め、ユーロ圏と日本は二重の痛手を負うことになるだろう。

泣きっ面に蜂のECB

 欧州中央銀行(ECB)にとってはさらに悪いことに、ユーロは先週、人民元の切り下げを受けて対ドルで上昇した。ユーロ圏の経済が成長していると市場が考えたからではない。ユーロはキャリートレードの資金調達通貨であり、その売りポジションの解消が行われているのだ。

 中国政府の元安誘導は、ユーロ圏にとっては厄介なタイミングで行われている。原油安、金融緩和、ユーロの競争力向上といった好条件にもかかわらず、ドイツ、フランス、イタリアの3国で先週発表された国内総生産(GDP)統計が示すようにユーロ圏の経済成長の勢いは弱々しく、インフレ率も低迷している。