(2015年8月14日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

中国主導のAIIB、創設メンバー57か国に

8月第3週は、人民元の切り下げが世界を大きく揺るがした〔AFPBB News

 中国人民銀行が人民元を下落させて世界を驚かせてから2日経っても、投資家と政策立案者はまだ、これは市場主導の為替レートに向けた好ましい動きなのか、それとも競争的な通貨切り下げなのかと頭を悩ませていた。

 特に、過去数カ月でドルが新興国全般の通貨に対して急上昇したことから、ワシントンでは、各地に広がる通貨戦争で米国が敗者になりつつあると懸念する向きもある。

 だが、不安定化を招く為替変動に対する懸念は妥当だが、ゼロサムの戦いへの不安は行き過ぎのように見える。柔軟な為替レートは世界的な景気調整の重要な一部であり、人民元が現在、下落圧力にさらされていることは理にかなっている。

 ただし、貿易相手国がこれを受け入れるためには、中国は今回の動きが変動相場制へ向かう正真正銘かつ恒久的な動きであって、短期的な輸出促進を実現するための意図的な通貨安ではないことを証明するために懸命に努力しなければならない。

現段階では人民元安を正当化できるが・・・

 現段階で人民元安を正当化する根拠は強い。ドルに連れてその他多くの通貨に対して上昇することで、中国は自国経済が著しく弱くなった時に競争力を失った。資本流出も為替レートに下落圧力をかけ、元安を防ぐために介入が必要になった。

 確かに、元安は、輸出志向の成長モデルをより内需に基づくモデルへ移行させるという中国の公式目標に逆行している。しかし、ただ内的リバランス(再調整)を促すためだけに明らかに過大評価された人民元を支えることによって景気減速を悪化させることを中国政府に期待するわけにはいかないだろう。

 金融政策を緩和し、通貨安をもたらしていることについて米国が新興国に向けて発する「通貨戦争」の叫び声は、これら新興国が米連邦準備理事会(FRB)の量的緩和プログラムの最中に米国に対して同じことをした時と同程度の正当性しか持たない。

 変動為替相場制の下では、世界の金融政策はゼロサムゲームではない。米国はドル高に対応する独自の力を持っている。為替レートを直接管理しようとするのではなく、FRBが何もなかった場合よりも低い金利水準を維持するのだ。