(2015年8月12日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

人民元と円の直接取引、6月1日から開始 安住財相

中国人民銀行の予想外の動きを受け、人民元が対ドルで大幅に下げている〔AFPBB News

 過去20年間で最も大幅な人民元切り下げに踏み切った中国人民銀行(中央銀行)の予想外の動きは、通貨戦争に関する論議に火をつけた。もっとも、今回の介入を市場改革と金融自由化に向けた歓迎すべきジェスチャーと解釈する向きもある。

 人民銀行が11日、この日の人民元の基準値を前日より1.9%低い水準に設定した後、元相場は下落し、ほぼ3年ぶりの安値をつけた*1。1.9%というのは、記録に残る限り、最大の変更幅だ。

■日々の基準値とは何か?

 人民銀行は北京で毎日午前9時15分に、厳しく管理された通貨の基準値(中間値)を設定する。15分後に市場が開くと、投資家はこの中間値の上下2%の範囲内で人民元を売買することが許されている。

■なぜ今なのか?

 明らかなきっかけは景気の減速だ。今年第1四半期と第2四半期に中国経済は年率7%のペースで成長し、6年ぶりの低成長となっている。

 週末発表された統計によると、7月の輸出は前年同月比で8.3%減少し、1.5%の減少予想よりはるかに悪い数字となった。通貨が下落すれば、中国の輸出競争力を高めるのに役立つはずだ。

■すると、中国は輸出を促進しようとしているということだが、これは通貨戦争ではないのか?

 必ずしもそうではない。公にされている目的は市場改革だった。人民銀行は、これは人民元の「市場志向とベンチマークとしての地位」を強化するための1度限りの措置だと説明した。

 以前は、人民銀行は通貨を好きな水準に設定していた。これからは市場に一定の発言権を与えることになり、日々の基準値は「前日の銀行間の外国為替市場の終値を参照する」としている。

*1=中国人民銀行は12日、人民元売買の中間値となる「基準値」を前日よりさらに1.6%引き下げ、人民元相場はさらに大きく下落した