「有害な」120曲、インターネットから削除命令 中国

中国のカラオケクラブで歌う女性〔AFPBB News

 米ウォールストリート・ジャーナルの8月10日付の記事によると、中国ではここ最近、オンライン音楽の海賊版排除に向けた取り組みが始まった。

ネット大手が初めて当局に協力

 これは中国国家版権局(NCAC:National Copyright Administration of China)が8月の第1週に明らかにしたもの。それによると同国では、主要なオンライン音楽配信サービスから合計220万曲の海賊版が取り除かれた。

 当局は7月末までに、オンラインサービス上にある無認可の楽曲を削除するようサービス提供会社に要請していたが、各社がそれに応えたのだという。こうした取り組みはこれまでも多くあったが、今回のように大手が国家版権局に協力するのは初めてのことだと、ウォールストリート・ジャーナルは伝えている。

 同国では、電子商取引を手がけるアリババ・グループ(阿里巴巴集団)、ソーシャルネットワーキングやオンラインゲームのテンセント・ホールディングス(騰訊控股)、検索サービスの中国バイドゥ(百度)などの大手インターネット企業が音楽ストリーミングサービスを提供している。

 だがこうした大手のサービスでも海賊版ははびこっている。これに加え、中国には100以上の違法音楽サイトがあると言われている。

 そのうちの人気のあるサイトの1つには1カ月当たり1億6850万人が訪れており、この数は正規に運営されるどのオンライン音楽サービスの利用者数より多いと指摘されている

 こうしたオンライン音楽事情を背景に、同国では音楽会社がオンライン配信で収益を上げられない状況になっているとウォールストリート・ジャーナルは伝えている。

中国で有料モデルが成り立つ日が来る?

 ただ、専門家は今後のシナリオとして、次のようなことが考えられると見ているようだ。

 まず、前述の大手3社をはじめとする主要企業が、正規手続きを経た合法的な楽曲を増やしていく。これによりレコード会社と契約する金銭的余裕のない企業は存続が危ぶまれるようになる。