(2015年8月7日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

金融市場では積極果敢なリスクテークが続いているが・・・ (c) Can Stock Photo

 先進国における超緩和型の金融政策の時期が徐々に終わりに近づく中、1つのパラドックスに説明が必要になっている。

 この異常な金融の実験の期間中ずっと、上場企業の経営者たちは、いたるところにリスクを見て取り、史上最低の借り入れコストを享受しているにもかかわらず、固定資産への投資を渋っているように見えた。

 一方、金融機関は、怖いもの知らずで市場をかつてないほど高い水準に押し上げてきた。

 実体経済での控えめなリスクテークと金融市場での積極果敢なリスクテークのこの二極化を受け、経済協力開発機構(OECD)のアンヘル・グリア事務総長は、これらの見方のうちのどちらかが誤りだと証明されるだろうと述べた。

 米連邦準備理事会(FRB)が現在利上げに備えて準備しているため、我々は間もなく、いったい誰の判断が危険なほど誤っているのか知ることになるかもしれない。

賢明であれ何であれ、理解はできる金融機関の行動

 金融機関の行動は、賢明であるにせよ、常軌を逸しているにせよ、少なくとも理解はできる。危機以後の各国中央銀行の債券購入プログラムはまさに、投資家にもっとリスクを取るよう促すことを意図していた。

 債券購入プログラムは、アジアの貯蓄過剰、西側での不十分な投資、人口動態上の不利な傾向といった要因を反映して、金融危機の前から存在していた実質金利の長期的低下にさらに弾みを付けた。その結果は、盛んに議論された「利回り追求」だった。

 利回りへの下落圧力は、いわゆる安全資産の不足によって強められた。その結果、利回りがごくわずか、あるいはマイナスのソブリン債に資金が殺到した――実質的には、利回りゼロの追求である。最近の利回り上昇の後でさえ、投資家はまだ一部の欧州政府にカネを払って自分たちの資金を受け取ってもらっている。