「空手形」になりそうなサウジアラビアの減産表明

シェール企業はもはや虫の息、「債券バブル」崩壊でとどめか

2015.08.10(月) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44491
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 CDSといえばリーマン・ショックの直接の原因をつくったとされる代物である。潰れそうな企業をネタにしてまで金儲けに走る投資家たちの行動が復活しつつある。「そうした行動が世界の金融市場を崩壊の一歩手前まで追い込んだという教訓は、今や忘れ去られつつあるのか」と思わず溜め息をつきたくなる。

「ピムコ問題」を引き金にシェール企業大量倒産か?

 最後に、グロス氏が昨年退社した世界最大の債権運用会社の1つ、米ピムコ(PIMCO)を巡る気になる動きが出てきていることを紹介したい。

 8月4日付ウォール・ストリート・ジャーナルは「ピムコの旗艦ファンド『トータル・リターン・ファンド』の上場投資信託(ETF)の保有資産の評価に関連して、米証券取引委員会(SEC)から提訴される可能性がある」ことを伝えている。

 SECが今後本格的な調査を行いピムコを提訴することになれば、公的年金ファンド等からの解約が相次ぎ、2年以上にわたり業績不振が続いているピムコが倒産する可能性もゼロではない。最も懸念されるのは、ピムコ問題に端を発した換金売りが世界全体の債権市場に広がり、世界規模の「債券バブル」が崩壊することである。

 米国では「ピムコ問題が米国金融市場最大のスキャンダルに発展する」との憶測が出始めている。センチメントの悪化の悪影響を最初に被るのはシェール企業であり、今後、シェール企業の大量倒産も予想される(経営危機が囁かれる米チェサピークエネジーの第2四半期の決算は約42億ドルの大幅赤字だった)。

 これにより生ずる減産分はサウジアラビア、ロシア、欧米の大手石油企業等が埋めるため、世界の原油市場の供給過剰が改善することはないだろう。むしろ金融市場の変調を引き起こし、世界経済のデフレ化に資するとすれば、原油価格はリーマン・ショック後の最安値(1バレル=33ドル)に向かうのではないだろうか。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

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