「空手形」になりそうなサウジアラビアの減産表明

シェール企業はもはや虫の息、「債券バブル」崩壊でとどめか

2015.08.10(月) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44491
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 エクソンモービルの今年第2四半期の純利益は41.9億ドルとなり四半期ベースでは6年ぶりの低水準となった。シェブロンの純利益も前年同期に比べ約10分の1の5.7億ドルと約13年ぶりの水準にまで落ち込んだ。両社ともに原油・天然ガスの生産量は原油換算で両社ともに増加したものの、全体の売上高はともに約3割減少した。英蘭シェルの純利益も38.4億ドルと前年比37%減となり、コスト削減のため約6500人を整理する方針を明らかにした。

「原油安を受けエネルギー株に売りが出て、NY株式市場全体が下落する」という昨年後半に見られたパターンも甦ってきた。

 S&P500種を構成するエネルギー株は2014年6月の原油価格の高値から約31%下落し、過去約1年で1.3兆ドルの時価総額が露と消えた(8月5日付ブルームバーグ)。それでもエネルギー株に買い手がなかなか見つからない。

 株価下落により、エネルギー企業は設備投資を絞り込もうとしている。8月3日に格付会社S&Pは「世界の事業会社による今年の設備投資は1%減少する」との見通しを明らかにした。中国での需要減少に対する懸念からエネルギー部門での投資が今年14%減少することが主な要因であり、「来年はさらに4%減少する」としている。

シェール企業に群がり始めた“ハゲタカ”

 シェール企業はどうなっているだろうか。原油価格の下落基調が強まる中、米国での石油掘削装置の稼働数が2週続けて増加している。「シェール企業の抵抗力の証明」とする向きもあるが、最もリスクの高い「CCC」以下の格付けとなっているエネルギー企業が発行する債券を投資家が手放す動きが広がっている(8月3日付ブルームバーグ)。

 シェール企業に“ハゲタカ”も群がり始めている。7月29日付ブルームバーグによれば、経営破綻した企業の債権を割安な価格で購入し、経営再建後に価格が上昇した後に売却することで投資を回収する「デイストレスト投資」が近年になく活況を呈している。世界最大手の米オークツリー・キャピタル・グループは約100億ドルの資金を集め、「(破綻したシェール企業)への投資に利用できる多くの手元資金がある」と鼻息が荒い。

 著名な債券投資家ビル・グロス氏は、「ハイイールドCDX指数」をショートポジションとすることで過去数カ月間に利益を得たことを明らかにした(7月30日付ロイター)。この指数は北米のジャンク級100社のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)で構成される。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

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