(英エコノミスト誌 2015年8月1号)

エクアドルは中南米のギリシャになるのだろうか。

エクアドルの首都キトの風景 (c) Can Stock Photo

 エクアドルの首都キトの近郊に位置する新空港に到着した旅行客は、真新しい6車線の高速道路に乗り、流れるように35キロ先のキトへ移動していく。大幅に改善されたこの道路網は、新しい病院、学校、公営住宅、社会福祉、奨学金と並び、ラファエル・コレア大統領の掲げる「市民革命」の成果だ。

 技術主義的な現代化と左派ポピュリズムという面を併せ持つコレア大統領は、強力な政権を主導し、これまでのところ支持率も高い。

 過去3人の大統領がいずれも任期を全うしなかったエクアドルで、コレア政権は8年にわたって続いている。

 だが今、コレア政権の財源は尽きつつあり、国民はコレア大統領に背を向け始めている。抗議活動が頻発し、なかでも最大となった6月のデモでは、およそ35万人の国民が港湾都市グアヤキルで街頭に繰り出し、相続税率や不動産売却益への課税率の大幅引き上げ案に反対した。

 こうした抗議活動の背景となっているのは、原油価格の急落とドル高(エクアドルは2000年以降、米ドルを通貨としている)とが相まって経済成長が止まったことだ。エクアドル経済は2015年第1四半期に、前期比で縮小した。独立系のエコノミストらは、今年と来年について、ゼロ成長か緩やかな縮小を予想している。

石油収入と中国からの融資で作った「大きな政府」

 コレア政権の主張によれば、今は石油やバナナの輸出に頼ってきた経済を多角化している最中だという。「それには時間がかかる」とナタリー・セリー工業・生産性大臣も認めている。セリー大臣は、食品加工や観光への投資や、中国主導で建設されている水力発電所がまもなく稼働する(これにより燃料輸入が減少する)ことを強調する。

 だが、成長の原動力となってきたのは、民間投資ではなく、公共投資だ。「過重な税金を企業に押しつければ・・・信頼感の低下や経済の減速につながり、企業は投資をしなくなる」と、6月のデモを組織したグアヤキルのハイメ・ネボット市長は訴える。