(2015年7月30日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

地中海で難民700人超救助、ゴムボートで欧州目指す

アフリカから地中海を渡って欧州を目指す難民は後を絶たない。多くは経済が安定したドイツに亡命を希望する〔AFPBB News

 シャーロッテ・ツァインドルマイヤーさんは外国人に何の反感も持っていない。経営している衣料品店では、湾岸諸国から来る大勢の裕福な客にサービスを提供してきた。だが、ドイツ・バイエルン州の村ヴィンデン・アム・アイグンの住民たちを不安にさせたのは、村に訪れることになっている亡命希望者の数だった。

 人口800人のこの豊かな村のゲストハウスに、100人以上の亡命希望者が住むことになったのだ。

人口800人の村に難民100人

 ゲストハウスから数軒先のコテージに暮らすツァインドルマイヤーさんは言う。「私たちは数について心配していました。800人の村に130人ですから。ガソリンスタンドを別にすれば、買い物に行く場所もありません。それに、もし大勢の若い男性が来たら、どうにかして忙しくさせておかないといけませんしね」

 村の住民からオンライン上で嘆願が集まった後、村に来る亡命希望者の数は67人に減らされた。それでも今月、放火事件が起き、ゲストハウスの離れが焼け落ちた。

 難民を全国に割り振るドイツの政策は、今年の亡命申請の急増と相まって、ごく小さな集落にも見慣れない人たちをもたらした。

 ドイツは昨年、欧州連合(EU)で最大数の亡命申請者を受け入れたが、他の欧州諸国と異なり、極右政党が選挙で成功を収めることはなかった。むしろ、難民数の増加への不安は、難民希望者の保護施設に対する襲撃という形で表出した。

 今年上半期には、ナチスのシンボルの落書きから建物の放火まで、難民収容施設に対する200件近い襲撃事件がドイツ当局に記録されており、昨年の175件から増加している。