4月から行方不明になっていたラスベガス在住の67歳の女性の遺体が、先月末に発見された。

 同居していた夫や警察、地域の住民などが、警察犬と一緒に近隣を探し続け、有力な情報提供者には賞金まで用意し、必死で探し続けてきた。この女性は脳梗塞を患ったばかりで、再び梗塞に襲われ行き倒れになっている可能性があったからだ。

 遺体は意外な場所から発見された。夫と一緒に長年住んできた、2LDKの自宅の一室に白骨化した死体があったのだ。

 もちろんこの間、夫はこの家に住み続けていた。警察は女性の死因は自然死で、事件性はないと見ている。夫にも容疑はかかっていない。

 この事件が注目されたのは、さほど大きくない家の中に死体があっても気付かなかった理由にある。警察犬さえも死体を見つけられなかったのはなぜか。

 彼らの家は、いわゆる「ゴミ屋敷」だったのである。

米国で社会問題化する「極度の収集癖」

 この家は、すべての部屋が床から天井まで様々な「物」で埋め尽くされていたという。警察は現場検証のために、遺体のあったベッドルームにあった物を夫の協力を得て捨てようとした。ベッドルームだけでも大型ゴミ収集車が3度行き来しなければならないほど、物が詰め込んであったという。

 部屋には新聞紙や雑誌、使用済みのペットボトルや衣類、拾ってきた使途不明の物、買ったまま袋に入った物などが無造作に積み上がっていたという。

 警察は、再び脳梗塞の発作に見舞われた女性が、倒れた勢いでこれら山積みの「物」の下敷きになったと見ている。家の中は、警察犬が死体を察知できないほどの悪臭が常に漂っていたらしい。

 女性は、近所でも有名な「ホーダー(hoarder=病的な収集癖を持つ人)」だった。毎日のようにリサイクルショップに通っては何かを買い、どんな小さな物でもゴミでも捨てることができなかったという。

 しかし同時に、彼女は地元では友人も多く、平和活動家として尊敬もされていた。40年間連れ添った夫もいた。社会から阻害されていたわけでも、明らかな精神的問題を抱えていたわけでもない。

 彼女こそ、ここ数年米国で社会問題化している「ホーダー」の典型例である。