(2015年7月28日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

ブラジル全土で反政権デモ、3月に続き再び

ブラジルでは4月にも、ペトロブラス汚職疑惑などに抗議する大規模な反政府デモが起きた〔AFPBB News

 ブラジルのルイス・イナシオ・ルラ・ダシルバ前大統領は週末に開かれた労働組合員の会合で、同国の左派の政治家たちが「迫害」に苦しんでいると発言した。

 ルラ・ダシルバ氏の属する左寄りの与党・労働党(PT)が貧困層の生活水準を引き上げたことについて、「エリート主義者たち」(名前は明かさなかった)が嫉んでいるというのだ。

 「テレビで今日見られることは、ユダヤ人を犯罪者にしていったナチスのようだ」とも語った。

 確かにルラ・ダ・シルバ氏の言う通り、PT主導の連立政権がかつてない圧力にさらされていることは事実だ。しかし、「迫害」を行っているのはナチスではない。犯罪の予防と独立性の強化に力を入れているブラジルの連邦警察、検察庁、そして判事だ。

 検察庁は先週、ブラジルの権力者は罰せられないという伝統を破り、国有石油会社ペトロブラスでの汚職に関与した容疑で、ブラジルで最も有力な建設会社経営者2人を正式に起訴した。

 これにより、このスキャンダルの捜査当局の手は究極のターゲットに向けて1歩前進したことになる。そのターゲットとは、ルラ・ダシルバ氏が選んだ後継者ジルマ・ルセフ大統領の連立政権に属し、この汚職スキームで利益を得たとされる政治家たちだ。

有力者に牙をむいた検察官

 「我々検察庁と捜査当局は、ブラジル社会と同じ夢を抱いている。法の前では全員が平等に扱われるという夢だ」。マルセロ・オデブレヒトとそのかつてのライバル、オタビオ・マルケス・アゼベドという建設会社トップの起訴を発表したデルタン・ダラノール検察官はこう語った。

 この2人とその会社――オデブレヒトおよびアンドラデ・グティエレス――はともに、汚職には一切関与していないと述べている。与党PTも同様だ。しかし、2人の建設会社トップが汚職の疑いで起訴され、質問に答えなければならなくなっているという事実は、ブラジルで制度の強化がかなり進んでいる現れだとアナリストらは指摘している。