(2015年7月27日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

JBpressの翻訳でもおなじみの英エコノミスト誌

 世界で最も影響力のある雑誌の1つを出版している英エコノミストグループほど特異な構造のメディア企業はほとんどない。1928年にロスチャイルド家、キャドバリー家、シュローダー家、そして当時のファイナンシャル・ニューズの出版社の連合によって財政難から救済されて以来、その構造は一握りのメディア企業しか匹敵できない財務と編集の独立性を同社に与えてきた。

 エコノミストはこれから、過去80年以上なかった大規模な所有権の変更に直面する。

 ファナンシャル・ニューズの後継企業であるフィナンシャル・タイムズ(FT)を1957年に買収したピアソンがエコノミストの50%の持ち株の売却交渉を進めているからだ。

 株式の買い手にはロスチャイルド家が含まれると見られているが、イタリアのアニェリ家も含まれる見込みだ。アニェリ家は自動車大手フィアット・クライスラーの支配株主で、それ以外の点では非常に英国的なエコノミストの所有の伝統への新規参入者だ。

 株式売却交渉は、ピアソンがFTグループを8億4400万ポンドで日本経済新聞社に売却することに同意した件に続く動きだ。だが、このプロセスがどんな結果になったとしても、どこか1社の投資家がエコノミストグループの支配権を獲得することはほぼあり得ないだろう。

1社の支配を許さない構造、恩恵は高まる名声と配当金

 3人の消息筋によると、ピアソン自体が過去15年間でエコノミストの完全な支配権を得ようとしたという。もし成功していたら、エコノミストとFTを一緒にすることができ、両社合計で230万人を超える有料購読者が、より強力なグローバルメディア企業を築いていただろう。

 しかし、ピアソンの試みは拒否された。FTSE100の構成銘柄であるピアソンに近いある人物によると、その結果、ピアソンはエコノミストの持ち株でほとんど何もすることができなかったという。

 株式所有の恩恵は、戦略ではなく、高まる名声と配当金という形で入ってきた。エコノミストがオンライン上で掲載している社史は、ピアソンに触れることさえしていない。