(英エコノミスト誌 2015年7月25号)

シリコンバレーは称えられるべきものだ。だが、その島国根性が反発を招く恐れがある。

米国の西海岸に経済の中心部ができている (c) Can Stock Photo

 イングランドには「シリコンフェン」と「シリコンラウンドアバウト」が、スコットランドには「シリコングレン」がある。ベルリンには「シリコンアレー」、ニューヨークにも「シリコンアレー」がある。 だが、ハイテク業界の頭脳となっているのは、サンフランシスコ周辺のエコシステム(生態系)だ。シリコンバレーの起業家やイノベーター、技術者、資本家は、世界経済のほぼあらゆる面で精力的に革命を起こしている。

 シリコン半導体を製造する技術にその名が由来するシリコンバレーは、企業の意思決定のあり方や、友人の作り方、抗議活動で騒動を起こすやり方に変革をもたらしている。

 新興企業は、かつてないほど速く、かつてないほど多くの人に手を広げている。自宅を宿泊施設として貸し出す人向けにサービスを提供する創業7年のエアビーアンドビー(Airbnb)は、世界中の3万4000に上る町や都市で事業を展開している。

 ウーバー(Uber)などの「オンデマンド」企業は、「雇われて働く」ということの意味を変えている。

 グーグル、フェイスブック、アップルなどの大手プラットフォームは、新規ユーザーが1人増えるたびに全ユーザーにとってのサービスの価値が高まる、いわゆる「ネットワーク効果」から利益を得ているが、それと同じように、ハイテク企業の起業や出資、人材集め、売却の場所としてのシリコンバレーの成功も、自己増殖的に成功を重ねている。

米国資本主義の新たな中心地

 その結果、米国資本主義は西海岸に新たな中心地を持つに至った。富を求め、買収を手掛ける場所は、かつてはウォール街だったが、いまやシリコンバレーがその役割を担うケースが増えている。

 シリコンバレーのハイテク企業の価値は、合計すると3兆ドルを上回る。2014年には、米国のビジネススクールの卒業生の5人に1人が、ハイテク業界に進んだ。JPモルガン・チェースを率いるジェームズ・ダイモン氏は、ウォール街が直面する競争の激化を警告している。ゴールドマン・サックスは先ごろ、年次株主総会をサンフランシスコで開催した。