(2015年7月21日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

金相場が5年ぶりの安値をつけた (c) Can Stock Photo

 マクロおよびミクロ経済要因の組み合わせが金に対する投資意欲をそぎ、金相場が5年ぶりの安値をつけた。

 米国と中国の取引所で起きた直近の爆発的な売りは、英国時間未明にほんの数分間だけ続き、攻撃的なファンドが新たな安値を試すことにますます熱心になっていることを示唆している。

 米ニューヨーク商品取引所(COMEX)の先物市場と上海期貨交易所(SHFE)、上海黄金交易所(SGE)で、3~4分の間に17億ドル相当の金が売られた。これを受け、中国のファンドが1月に銅でやったように、また新たな攻撃を仕掛けたのではないかという憶測が飛び交った。

 多くの投資家はいくつもの理由から金相場の見通しに慎重になっている。

■米ドルとFRB

 米連邦準備理事会(FRB)がこの9月に2007年以来初となる利上げに踏み切ると広く予想されていることから、米ドルは主要通貨のバスケットに対して3カ月ぶりの高値で取引されている。

 金は利回りが発生しないため、金利が上がった時には弱くなる。また金価格はドル建てのため、他の通貨の保有者にとって高くつくようになる。

■インフレの兆候なし

 世界経済の成長は徐々に回復しており、原油価格は昨年夏以降、50%以上下落している。おかげでほとんどの先進国ではインフレが抑制されている。

 金融危機後の金融緩和がインフレを引き起こすと考えて金に押し寄せた投資家も失望させられた。金相場は12年間上がり続けた後、2011年に1トロイオンス1920ドルの最高値をつけ、以来、7月20日の1105ドルまで下げた。金はインフレに対するヘッジと見なされている。