(英エコノミスト誌 2015年7月18号)

ギリシャと欧州との取り決めは、1つの惨事を回避し、次の惨事を早める。

ユーロ圏財相会合、ギリシャ問題で合意なし 22日に緊急首脳会談へ

グレグジットはひとまず回避されたが・・・〔AFPBB News

 「我々は『アグリークメント(a-Greek-ment)』に達した」。ドナルド・トゥスク欧州理事会議長は7月13日の朝、こう宣言した。

 トゥスク氏のちょっとしたジョークは、その時は無理もないように見えた。

 何しろユーロ圏の指導者たちは、徹夜で協議した後、差し迫ったギリシャのユーロ圏離脱を回避する取り決めを打ち出したからだ。

 現実はもっと厳しい。まともな取り決めなら、ギリシャを持続的成長に向かう軌道に乗せ、「グレグジット」の可能性を棚上げしたはずだ。

 代わりに欧州は、緊縮と信じ難い想定というお決まりの処方箋を仕立て上げた。国際通貨基金(IMF)は、救済策の資金供給を分担することになっているが、そのIMFでさえ、合意内容が意味をなさないと考えている。

困窮するギリシャ経済

 確かに、有益な考え方もある。820億~860億ユーロ(900億~940億ドル)と見積もられる救済パッケージに関する協議と引き換えに、債権団は構造改革をこれまでの2度の救済策より優先順位の高い課題に据えた。これは歓迎される動きだ。クローズドショップ制度の業界を競争にさらすことは、緊縮策より確かな成長への道のりだ。

 だが、たとえ実行されたとしても、構造改革が効果をもたらすには長い時間がかかる。その間にもギリシャ経済は、銀行の閉鎖や資本規制のために喘いでいる。救済の合意には、この「のど輪攻め」を和らげる効果がほとんどない。

 債権団は、ギリシャが7月20日の欧州中央銀行(ECB)に対してデフォルトしないように、つなぎ融資のパッケージを作った。だが、改革案がギリシャ議会を通過し(最初の部分は7月15日に通過した)、救済策の詳細が決まるまで、資金は流れてこない。