(2015年7月21日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

スーパータンカーの運航会社が久しぶりの活況に沸いている(写真:DHTホールディングス)

 200万バレル超の原油を世界各地に運ぶことができる「スーパータンカー」の船主にとって、原油価格の急落は商売の役に立った。

 金融危機が起きた時、まさに需要が急減する最中に過剰な数のタンカーが市場に出回り始めた。

 タンカー運賃はその後5年間横ばいで推移し、船主の利益を圧迫していたが、大型原油タンカー(VLCC)の運航会社は現在、金融危機以降では初めての活況に沸いている。

 今年に入ってVLCCの運賃は50%以上上昇している。スーパータンカーのベンチマークルートである「サウジアラビアから日本まで」の原油輸送の運賃は1日当たり9万3600ドルと、この季節としては7年ぶりの高値になっている。

まさに恵みの雨

 ユーロナブ、DHTホールディングス、ティーケイ・タンカーズ、フロントライン、ノルディック・アメリカンといった大手タンカー会社にとって、2014年に始まった原油市場の急落は恵みの雨になっている。おかげで債務の削減や新しい船腹への投資、業績の優れない時期にも株を持ち続けてくれた株主たちへの恩返しなどが可能になるかもしれない。

 「船主にとっては非常に好ましい環境だ」。ニューヨーク証券取引所に上場しているDHTホールディングスのスバイン・モクスネス・ハルフィエルド共同最高経営責任者(CEO)はこう語る。「我々のような企業は今、かなりの現金収入を稼いでいる」

 タンカー市場は景気に左右されやすく、好況と不況の差も大きくなりがちな業界で、原油の需要、生産地域と消費地域の距離、そして新造船の供給という3点が業況を決める主な要因だ。現在は、これらがすべて好ましい状況にある。

 アナリストらの推計によれば、債務が少なく運航費も安い企業では、中国に向かうタンカー1隻で1日当たり4万ドルの利益が出ることもあり得るという。日量200万バレルと推計される余剰原油の引き取り手を生産者と石油トレーダーが見つけようとしているからだ。