ユーロ圏、ギリシャに厳しい救済条件、独仏の対立あらわに

ベルギー・ブリュッセルでユーロ圏首脳会議の開始前に言葉を交わす(左から)ドイツのアンゲラ・メルケル首相、フランスのフランソワ・オランド大統領(後ろ向きの人物)、ギリシャのアレクシス・チプラス首相(2015年7月12日)〔AFPBB News

 先日ある雑誌のインタビューを受けました。その話題とは関係なく、社会派で知られる雑誌ですので「ギリシャのデフォルト、どう思う?」と、逆に記者さんにこちらから質問を投げてみたのですが・・・。

 20代の若い記者氏、どうもあまりはっきり、欧州通貨の問題を認識していない様子で、かえってこちらの話に多くの時間を取ってしまいました。

 ジャーナリズムに関わる人でも、あまり問題の本質に親しんでいないのなら、まして一般社会はなおさらでしょう。

 ちょうどドイツのベルリンにある自宅に戻ったタイミングで状況も分かりましたので、ギリシャの債務不履行を巡る問題、例によって「源流にさかのぼって」考えてみたいと思います。

閉鎖経済と徳政令

 最初に「海の向こうの話」ではなく、日本の現実と歴史上の事例に照らして考えてみたいと思います。

 日本史を勉強していると「徳政令」という言葉が出てきます。幕府などが命令して借金の棒引きを命じるものですが、現代日本の感覚で誤解すると、その意味がよく分からなくなります。

 現代社会では法定金利などが厳密に定められ、不法な利息を取り続けていれば、法に従って裁かれ、返金なども珍しい話ではありません。

 が、そんなご時勢になったのはごく最近のことであって、歴史を遡れば、とっくに元金を払い終わっているのに、いつまでも利息地獄で苦しむといったケースは枚挙に暇がありません。

 ちなみに、落語などで出てくる「丁稚」とか「年季奉公」などという言葉も、ふわーっと聞いていると「古き良き時代の習俗」のように思うかもしれませんが、現代日本でこれを行えば「人身売買」として刑事司法の対象になります。

 年貢を払わねばならないが、手元にお金が全くない。仕方なく娘を3年の奉公(というか、要するに身売りですね)に出して、親がいくばくかのお金を手にして年貢なり借金の利息の一部なりにあてる。娘は都会でルンペン・プロレタリアート的な労働に従事する・・・。