(2015年7月10日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

NY証券取引所、全株式取引が一時停止 システム障害で3時間以上

7月8日、米ニューヨークのニューヨーク証券取引所で、システム障害で株式取引が停止され、ほぼ人がいなくなった立会場で取引再開を待つトレーダー〔AFPBB News

 週が変わると、また米国でサイバー警報が相次ぎ鳴り響いた。7月8日水曜日、ニューヨーク証券取引所(NYSE)とユナイテッド航空が不可解なコンピューター関連トラブルで数時間にわたって活動を停止する一方、ウォール・ストリート・ジャーナル紙のウェブサイトが一時的にダウンした。

 3社とも、機能停止は悪意ある攻撃ではなく技術的な障害を反映したものだと強調した。

 だが、強大な米国企業・機関に対する過去の攻撃の後、多くの人が不安を抱いている。

 今年2月、保険大手のアンセムはハッカー集団に8000万人の顧客の情報を盗まれたことを明らかにした。

 ワシントンに本拠を置く米人事管理局はハッカー集団が数百万人の連邦政府職員に関するデータを盗んだと述べた。小売りから銀行まで、さまざまな企業も攻撃を受けている。

米国の送電網が破壊されたら1兆ドルの損害

 8日、まさにNYSEが機能停止に陥った時、ケンブリッジ大学と保険大手のロイズは、サイバー攻撃が米国の送電網を破壊した場合には1兆ドルの損害が発生すると指摘した報告書を公表した。

 その数分後、米連邦捜査局(FBI)のジェームズ・コミー長官は米議会で、ジハード(聖戦)主義勢力が利用している暗号ツールを解読するのに苦労していると語った。長官は5月には、イスラム主義のテロリストは、重要インフラを攻撃するためにマルウエア(不正ソフト)を使うという考えに「目覚めつつある」と語っていた。恐ろしい話だ。

 投資家や政治家、有権者が熟慮する必要がある重要な問題は、単純に次の標的が誰かということではなく、米政府はこうした攻撃に対処する適切な制度機構をきちんと備えているかどうかという問題だ。その答えは、ほぼ間違いなくノーだ。