(英エコノミスト誌 2015年7月11号)

ギリシャと債権者との間で合意が成立するのが一番いい。だが、グレグジットが避けられないのであれば、以下がその方法だ。

ギリシャが財政再建案提出、期限の2時間前 EU側精査へ

7月12日にブリュッセルで開催されるEUサミットはギリシャにとって重大な決断を下すことになっている(写真はギリシャの首都アテネで、夜間にライトアップされたアクロポリス)〔AFPBB News

 守られなかった期限がいくつもちりばめられた危機の中で、7月12日日曜日は本当にギリシャの債務ドラマの大詰めになるかもしれない。ユーロ圏の指導者たちは、欧州連合(EU)加盟全28カ国の指導者とともに、一連の会議のためにベルギー・ブリュッセルに集まる。

 ギリシャのアレクシス・チプラス首相がその日、債権者と合意を成立させることができれば、この国は破綻せずにユーロ圏内にとどまれるだろう。

 そのような合意がなければ、ギリシャは容赦なく「グレグジット(ギリシャのユーロ圏離脱)」の渦に向かって進んでいく。

 欧州理事会のドナルド・トゥスク議長――誇張するようなタイプではないポーランド人――は、これを「EUの歴史上、最も重大な局面」と呼ぶ。

 すべての関係者が、自分たちの目的はギリシャをユーロから追放することではなく、むしろ圏内にとどめておく方法を見つけることだと主張している。だが、もっと正直な欧州の政治家は、グレグジットの可能性がこれほど高まった時はないと認めている。賭けのオッズでは、グレグジットの確率は現在、50%程度だ。

 衝撃的なことに、これほど切迫し、かつ現実味があり、非常に劇的な結果を伴う出来事にしては、ギリシャがどのようにユーロから離脱するかについて、驚くほどわずかな公の議論しか行われていない。

 欧州にとって最善の結果は、まだ7月12日にギリシャをユーロにとどめる合意が成立することだ。だが今は、被害が最小限で済むようなグレグジットに向けた緊急対策を立てる時でもある。

渦の中へ漕ぎ出すチプラス首相

 原則としては、ギリシャと債権団との取引は難しくはないはずだ。チプラス氏が約束している改革は、他のユーロ圏諸国や国際通貨基金(IMF)が要求するものに、じれったいほど近い。

 ドイツのアンゲラ・メルケル首相から欧州中央銀行(ECB)のマリオ・ドラギ総裁に至るまで、誰もギリシャを追い出した責任を問われたくないと思っている。チプラス氏にとって象徴的な問題である債務減免の必要性はIMFによって裏付けられており、数を数えることのできる大半の欧州の政治家も――少なくとも内々には――これを認めている。

 理性的な利己心も、双方を合意に向かわせるはずだ。グレグジットの方がユーロにとどまるよりもギリシャ経済に大きな打撃を与えるし、債権団にもはるかに大きな費用がかかる。

 ギリシャがユーロから離脱すれば、ギリシャは欧州各国政府から受けた融資だけでなく、ECBに対する債務でもデフォルト(債務不履行)するだろう。その総額――3400億ユーロ(3750億ドル)、率にしてユーロ圏の域内総生産(GDP)の3%超――は、ギリシャの債務負担を持続可能なものにするために必要な債務減免額よりはるかに大きい。