(2015年6月30日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

ギリシャ、7月6日まで銀行休業 ATM引き出し制限

7月5日の国民投票まで休業となり、シャッターを下ろした銀行〔AFPBB News

 シャッターを下ろしたギリシャの銀行は、欧州連合(EU)にとって深刻な失敗を表している。足元の危機は現代ギリシャ国家の欠点を反映しているだけでなく、統一、平和、繁栄という欧州の夢が破れたことも示しているのだ。

 ここ30年あまり、欧州は「歴史の終わり」という世界観の欧州版を信奉してきた。それは欧州連合という名で知られるようになった。

 欧州諸国は戦争、ファシズム、占領といった悲劇を過去の出来事として片付けることができるし、EUに加盟することで民主主義、法の支配、そして国家主義の否定という3点を土台とするもっと明るい未来を一緒に手にすることができる、という思想だった。

 EU欧州委員会のメンバーだったクリストファー・パッテン氏がかつて誇らしげに語ったように、EUの成功によって欧州の人々は「互いに殺し合うのではなく、漁獲割り当てや予算について口論すること」に時間を使えるようになった。

欧州の新しいモデルだったギリシャ

 軍事政権が倒された1974年に、ギリシャは欧州の新しいモデルの先駆けとなった。国レベルの民主主義の回復を、同時に行う欧州経済共同体(EEC=当時)への加盟申請によって確実なものにするというモデルである。

 ギリシャは1981年、この欧州クラブの10番目の加盟国になった。現在28カ国が加盟するEUにギリシャが早い時期から加わっていたことは、ギリシャはずっと周縁国だったと語る向きには耳の痛い指摘になるだろう。

 ギリシャで最初に確立されたモデル――欧州への統合によって民主主義を定着させるモデル――はその後30年にわたって大陸中で利用された。

 同じく1970年代に権威主義的な政治体制から脱却したスペインとポルトガルも1986年にEECに加わった。ベルリンの壁が崩壊した後は、かつてソ連共産圏に入っていた国がほぼすべて、国内の民主主義的な変革をEU加盟申請の成功にリンクさせるギリシャ・モデルを踏襲した。