(英エコノミスト誌 2015年6月27日号)

ギリシャとユーロ圏は、この状態を続けるわけにはいかない――だが、恐らく続けようとするだろう。

ユーロ圏財務相会合、ギリシャ改革案を承認 支援延長に近づく

土壇場で交渉をまとめるような状況をいつまでも続けるわけにはいかない〔AFPBB News

 ユーロ圏は、首脳会議が慌ただしく開催された1週間を経て、またもや、ギリシャの破綻を食い止めるという、うんざりするほどおなじみの局面に立たされている。現行のギリシャ救済プログラムが期限切れとなる6月30日までに合意を成立させるべく努力が続き、その最新の試みとして、6月25日にはブリュッセルで再びユーロ圏財務相会合が開かれた。

 本誌(英エコノミスト)が印刷に回された時点で、その結果を予測するのは難しかった*1

 だが、どのような合意が成立したとしても、ギリシャの切迫した要求に対処するものにしかならないことは、火を見るより明らかだ。

 ギリシャと債権者は、基本的な考え方が大きく異なるにもかかわらず、単一通貨という「死の抱擁」のせいで互いに身動きが取れなくなっている。それもユーロ圏のGDP(域内総生産)の3%にあたる負債を抱えている国を巡って、こんな大変な状況になっているのだ。

 救済を巡る協議は、果てしなくねじれて混乱しているが、内容を詳しく見なくても、悪い結果になることは分かる。

 ここ5年の2度にわたる救済と債務削減を経て、ギリシャ経済はピーク時の2008年から25%縮小し、失業率は26%で高止まりし、公的債務はGDP比180%近くに達している。行政は破綻し、腐敗と恩顧主義という古い悪癖がこれまでになく蔓延している。

完全に失われた信頼関係

 ギリシャのアレクシス・チプラス首相は、これまでの債務を返済するのに必要な資金を得るために、他国が立案した緊縮策に署名しなければならない状況に追い込まれた。その点では、自身が野党席から激しく糾弾していたこれまでの政権と全く同じだ。

 以前と大きく違う点は、言い逃れと憎み合いの5カ月を経て、ギリシャと債権国の間にあったかもしれないわずかばかりの信頼が完全に消え去ってしまったことだ。

 そのせいで、ギリシャとユーロ圏は、これまでよりもずっと厳しい状況に追いつめられている。ドイツ国民のほとんどは、今ではギリシャのユーロ圏離脱を望んでいる。ドイツ連邦議会をはじめとする債権国の議会は、さらなるギリシャの救済策を承認するのに苦労するはずだ。とりわけ、ギリシャの債務負担の軽減を約束する条件が含まれる場合には――その可能性はありそうだ――承認は難しくなるだろう。

 一方、長きにわたって苦しんでいるギリシャについては、この嘆かわしい物語から得られる唯一の教訓と言えば、債権国に対する借金がまだ残っている時に不適切な政権を選ぶほど、ギリシャ国民が軽率だと分かったことくらいだ。

 なぜ、このような事態に至ったのか。時計の針を2010年5月に戻してみよう。ギリシャの最初の救済策は、さまざまな不安から生まれたものだ。欧州連合(EU)の首脳は、ギリシャの債務を棒引きすれば、リーマンショックのような悪影響が広がるかもしれないと懸念した。

*1=その後の報道の通り、財務相会合は事実上決裂し、ギリシャが国民投票の実施を決めた