フィリピン・コレヒドール島に残るマッカーサー司令部(筆者撮影、以下同)

 マニラからの報告を続けます(参照:「その1:フィリピン最高裁判事が中国の主張を一刀両断に」「その2:南シナ海の埋め立て、合法と非合法の分かれ目は?」「その3:中国が改竄する南シナ海の歴史的事実」)。

 今回マニラを訪れたのは、「海洋公共財に関する共通の行動に向けて」(Towards Common Actions on Maritime Commons)と題して地域の専門家を集めたワークショップ(6月15日開催)を、世界平和研究所、フィリピン外務省の外交研究所、フィリピン大学の海洋問題・海洋法研究所の3者共催で開催することが目的でした。

日本の南シナ海問題への関与を批判する中国

 実は、マニラに着いて最初に飛び込んできたニュースは、6月12日に中国外務省の洪磊報道官が日本の南シナ海問題への関与を痛烈に批判したことです。最初にその全文を翻訳してみましょう。なにしろ、フィリピンの人々から聞いた話と正反対の内容に満ちているからです。

「中国は、日本側のネガティブな動きに関して、深刻に懸念しており、怒りを覚えている。我々は日本側に対して何度も厳粛に抗議を行った。

 私は、中国が南沙諸島とその周辺海域に対して疑うことのない主権を有していることを強調する。中国の南沙諸島におけるいくつかの海洋環礁における建設工事は、中国の主権の範囲内で行っているものである。それは合法的で、正当化され、合理的なものだ。いかなる他国に対して向けられているものでもない。したがって、非難には一切値しない。