(英エコノミスト誌 2015年6月20日号)

楽観主義に勝るものはない――非現実的であるところを除いては。

安倍首相、アジアに1100億ドル投資を表明 AIIB資本金上回る

安倍晋三首相は経済再生なくして財政健全化はないと語っているが・・・〔AFPBB News

 安倍晋三首相が昨年11月、予定されていた2度目の消費税増税を延期した際、それは正しい行動だった。何しろ、2014年4月の最初の増税が、すでに脆弱だった経済に打撃を与えていたからだ。

 だが、日本が他のどの先進国よりもはるかに緩和的な財政政策を取っているため――財政赤字は国内総生産(GDP)比6.9%――、首相はそれと同時に、GDP比246%に達し、今も増加している日本の山のような公的債務を減らすための信頼できる長期計画も約束する必要があった。

 この計画は今夏に発表される予定だが、大筋はすでに分かっている。そして、計画が本来の仕事を怠るのではないかという懸念が高まっている。

 何人かのエコノミストは、計画は将来の経済成長について、それゆえ税収についても非常に楽観的な想定をしていると言う。政府は、国家債務について2つのシナリオを示している。

政府が描く2つのシナリオ

 より悲観的なシナリオは、経済を再生させるための安倍氏の取り組みが不十分で、年平均成長率がわずか1%となり、日本が何年もはまり込んでいるデフレの罠から辛うじて抜け出すことを想定している。

 その場合、日本は、政治家たちが2010年に約束した、プライマリーバランス(利払い前の基礎的財政収支)を黒字にするという2020年の目標を大きく外すことになる。これは国家債務を減らすことに対する政界の主要なコミットメントであり、達成できないとなれば重大なことだ。

 当然ながら、政府は「経済再生」という別のシナリオを信じていると言う。このシナリオでは、デフレは2%程度のインフレに移行し、政府は生産性を向上させ、2023年まで年2%以上の経済成長を生み出す徹底した構造改革を行う。年2%以上という成長率は、日本と異なり人口が増加している米国について一部の人が予想しているよりもさらに高い数字だ。

 こうした楽観的な想定の下で、政府は膨大な税収が生じ、大幅な歳出削減や、8%から10%への2度目の消費増税(今年10月の予定から2017年4月に延期された)以外の増税の必要性を弱めると予想している。だが、それでも日本は、2020年までにプライマリーバランスを黒字化するという約束を達成できず、その時点でもまだGDP比1.6%の赤字になる見込みだ。