米国と中国が23~24日にワシントンで開く戦略・経済対話では、南シナ海などを巡る安全保障上の対立などが大きな争点になる (c) Can Stock Photo

 米国と中国の政府高官は23~24日にワシントンで席に着き、年次「戦略対話」を開催する。開催に向けて南シナ海で緊張が高まったことから、今回の対話は重要性を増している。

 2001年、南シナ海上空を飛行していた米軍の偵察機EP-3が海南島の近くで中国空軍の迎撃機と衝突した時、米中両国の指導者はどうにか事態を鎮め、軍事衝突を回避した。

 今日、中国と東南アジア数カ国が競合する領有権を主張している南シナ海でそのような事件が起きれば、ほぼ間違いなく武力衝突につながるだろう。衝突は直ちに公の戦争へとエスカレートする恐れがある。

 先月、年次のアジア安全保障会議「シャングリラ・ダイアローグ」で、シンガポールのリー・シェンロン首相は米中間の武力衝突の可能性について東南アジア諸国連合(ASEAN)が抱く深い懸念を表明した。

南シナ海での大国間の競争関係

 良い知らせは、米国と中国の代表がこの会議を、緊張を緩和し、互いに関与を続ける意思をさりげなく示す好機ととらえたことだ。

 アシュトン・カーター米国防長官は、挑発の余地を限定する努力の一環として、南シナ海で領有権を主張するすべての国に対し、同海域での島の建造や埋め立てを中止するよう求めた。長官はまた、アジア太平洋地域のすべての国と国民に「台頭する権利」を与える地域安全保障アーキテクチャー(構造)を提起した。

 中国側からは、人民解放軍副参謀長の孫建国・海軍上将が「対立と衝突を防ぎながら平和的な交渉」を通じて論争を解決することに対する中国のコミットメントを繰り返した。さらに、大小すべての関係国が地域の安全保障問題に参加する平等な権利を持ち、地域の安定を維持する責任を分担していると付け加えた。