マンダレーからネピドーに向かう鉄道の車内。大きな揺れが続く

 「プログレスレポート前の協議は今日が最後」。

 会議が始まる前、日本コンサルタンツ(JIC)技術本部の佐藤修さんと東日本トランスポーテック企画本部海外事務部の江森宣雄さんが、そう言いながらもどことなく心配顔だったのには理由がある。

 佐藤さんたちは、この2カ月あまり、何度もこのオフィスを訪れては場所や仕様について具体的に説明・提案してきたのだが、そのたびにMR側は「上司と相談しなければ」「検討して返事する」と繰り返すばかりで、何も決断してくれなかったのだ。

 「こちらの提案は至極当然の内容で、特に不満や不明な項目はないはずだが・・・」と首を傾げる佐藤さん。今日も回答が得られなければ、また明日かあさって来なければならないが、もう時間の余裕はほとんどない。

 「今日こそは前に進めなければ」と決意を固めてこの場にやってきた。

国鉄資料にも記載

橋梁の規格についても議論は続いた

 淡々と進んでいた協議が急に白熱してきたのは、開始から1時間あまり経った頃だった。

 以前、ヤンゴン近郊のインセイン地区にある車両工場の工場長を務めていたMRのウィン・オー部長が、1枚の図面を机の上に広げた。これまで調査団が「イワタジ駅近くのMRの空き地に旅客用の車両基地を建設してはどうか」と渡していた図面とは、何かが違う。

 今から新たな場所を検討したいと言うのだろうか。どんな設備がほしいと言われるのか――。一瞬、佐藤さんたちに緊張が走った。