アンケート調査によれば、8割ないし9割の日本人は中国のことが好きでないと言われている。また、多くの日本人は中国の強大化を心配している。中国政府による反日教育の展開で、また大規模な反日デモが起きるのではないかと心配する日本人も多いようだ。

 日本人の対中感情悪化の背景には、中国で発生する反日デモや、尖閣海域に侵入してくる中国の公船に対する懸念があるが、日本のマスコミにも責任がある。偏った報道が日本人の間違った中国観を惹起していると言わざるを得ない。

 ここで問われるのは、中国人は本当に反日なのかどうかである。政治家が煽らなければ、中国の若者は基本的に反日ではない。中国の若者が反日になってしまうのは、マスコミ以上に、中国政府にも日本政府にも責任がある。

 日中の対立から言えることの1つは、両国はいまだに過去の戦争を引きずっているということである。中国政府がどこまで政治利用しようとしているかは不明だが、結果的に、過去の戦争がさまざまな場面で政治利用されている。

 もっとも顕著なのは、中国で数多く作られている抗日戦争に関する映画やテレビドラマである。

 戦争の映画やドラマを作ること自体は決して非難されるべきではない。「戦場のピアニスト」や「シンドラーのリスト」など、ユダヤ人を迫害するナチスを描いた名作は枚挙にいとまがない。

 問題は、中国で作られている抗日戦争の映画とドラマの多くが、史実に基づいていないことにある。政治利用する価値さえ認められれば、史実などおかまいなしに映画やドラマが作られ、テレビや映画館で放映、上映されるのだ。