(英エコノミスト誌 2015年6月13日号)

旧植民地の経済は、中国経済とかつてないほど密接に結ばれている。

香港、中国本土からの入境者を制限へ

香港のビクトリア・ハーバーを訪れた中国本土からの観光客〔AFPBB News

 数週間にわたって香港を席巻した民主化デモから半年が経過した今、この都市の経済は――見る人の視点によって――その副次的影響を受け始めているか、あるいは特に何事もなかったかのように順調に航海している。

 2つの不動産市場の物語がこの点を浮き彫りにしている。両極の一方の端には、小売りスペースがある。騒動以来、中国本土からの訪問客の伸びの鈍化に見舞われ、貸店舗の賃料は今年最大20%減少すると予想されている。

 もう一方の側には、オフィスがある。本土との新たな金融面のつながりによって活気づき、香港の近代的高層ビルの森では空室率が世界金融危機の勃発以来最も低くなっている。

 両者を結ぶ共通点は明らかだ。1997年に英国の統治が終了して以来どの時点よりも、香港の経済的運命が中国本土に依存しているということだ。

欧米経済と連動してきた香港経済に異変

 香港がそれ以外の中国にこれほど深く編み込まれているという事実は意外ではないかもしれない。何しろ香港は、人口13億人の国に支配されている700万人都市だ。だが、異なる政治体制の下で管理されているだけでなく、香港は長年、本土と一定の経済的距離を保ってきた。

 通貨は今も人民元ではなくドルにペッグ(固定)されているため、住宅ローンのコストを決めるのは、中国の金利ではなく米国の金利だ。国際貿易の無関税港として、香港の成長は、本土の比較的小さな輸入品に対する需要よりも欧米の外国製品に対する需要に依存してきた。

 少なくとも2012年時点では、中国経済ではなく、米国経済の方が香港の景気循環の浮き沈みに大きな影響を与えていた、と国際通貨基金(IMF)の研究員らは言う。

 だが、時間とともに、香港経済は中国の軌道により深く引き込まれるようになっている。最も明白なのは、本土からの資金と訪問客双方の流入だ。

 香港への対内直接投資全体に占める本土の割合は、1990年代終わりの1割程度から現在の4割近くまで上昇している(図1参照)。英領バージン諸島やケイマン諸島に登記されている本土企業を加えると、その割合はさらに高くなる。

 コンサルティング会社のCBREによれば、本土企業の主要商業地区の優良オフィス占有率は、2008年の12%から昨年の19%に上昇したという。