Financial Times

経済学を王座から引きずり下ろせ!

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(2010年9月7日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

ノーベル経済学賞の受賞者であるポール・クルーグマン氏と、著名な歴史学者で本紙(フィナンシャル・タイムズ)にも寄稿しているニーアル・ファーガソン氏が経済危機への最適な対処法を巡って対立した際、ファーガソン教授はユーモアを交えた謙虚な姿勢でこれに応じた。

 「猫も王の姿を見ることは許される(下々の者も目上の人間に対して一定の権利を持つの意)。たまには歴史学者が経済学者に意見することがあってもいい」

 シャルトリューという種類の灰色で大柄な猫を飼い、大学では歴史学を専攻していた筆者は、知識人の間にあるこの暗黙の序列をひっくり返す時が来たと考えている。今こそ猫は鋭い爪を露わにし、王に飛びついて化けの皮をはがしてやらねばならない。

 経済学者たちの虚栄心に異議を唱える必要がある。とりわけ、経済学はモデルと方程式で支えられた厳密な科学であるという主張は、もっと疑ってかからねばならない。

グローバル化時代の導師としてもてはやされた経済学者だが・・・

 世界経済が順調に回っていた頃、経済学者たちの威信は着実に高まっていった。彼らはグローバル化の時代のグル(導師)だった。政府やコンサルティング会社、投資銀行などが、貴重なスキルや情報を握っていると思われていた経済学者を競って雇った。

 これとは対照的に、歴史学者はただの芸能人か講談師のような扱いだった。古文書ばかりあさっていて科学的な手法を使わない。テレビ映りは悪くないが、パワーポイントを持たせても何もできないし、政府や取締役会の役には立たない、というわけだ。

スティグリッツ教授、世界経済の先行きに警戒感 二番底を警告

スティグリッツ氏は懸念を表明したが・・・〔AFPBB News

 世界が経済危機に見舞われてから、経済学者たちの中にも反省や自己分析の動きが少し見受けられるようになった。クルーグマン氏と同じくノーベル経済学賞を受賞したジョセフ・スティグリッツ氏はこんなことを述べている。

 「もし科学とは『未来を予測できるもの』だと定義されるのであれば、経済学を扱うことを職業とする者の大半が危機の到来を予測できなかったことは、大いに懸念すべきことである」

 ところがスティグリッツ教授はそう言いながら、がっかりするほど穏当な結論に達している。経済学者は新しい「パラダイム」を探さねばならない、というだけなのだ。恐らく、それができたら科学的な予測をまた手がけるということだろう。

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