(2015年6月15日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

ロシア企業は制裁の抜け穴を利用し、ビジネスを継続している(写真はモスクワ市内 (c) Can Stock Photo

 1年前にロシアのサンクトペテルブルクで開催された国際経済フォーラムに集まったロシア内外の企業数百社の幹部たちの大半は激しく動揺していた。

 ロシアのクリミア併合に反発した米国と欧州が、多数のロシア政府高官やロシア企業に対してビザ発給停止や資産凍結といった措置を取ったうえに、さらに広範な制裁もあり得ると脅しをかけてきたからだ。

 どの参加者も、事態はどこまで悪化するのかという疑問を口にしていた。

 この「ロシアのダボス会議」が今週再び開催されるが、参加者の多くは、昨年に比べればこの疑問に落ち着いて答えられるようになっている。

 ロシアは昨年7月に始まった幅広い分野での制裁――ロシアの多くの大企業に対する西側諸国での資本調達の禁止、欧州や米国からの軍事製品および軍事・民生両用製品の販売制限、ある種のエネルギー取引の禁止など――をもう1年近く切り抜けてきているからだ。

 ロシアで事業を行う欧米の企業にとって、このニューノーマルの下での日々はリスクが多く複雑でもあるが、思ったほどひどいものにはなっていない。欧州連合(EU)諸国や米国の銀行幹部らは、ロシア関連の仕事はほとんどなくなったと述べているが、ほかのセクターはその限りでない。

「おおっぴらにやらなければ大丈夫」

 「制裁対象になっているはずの財やサービスが、実際には対象になっていないように見える。企業は制裁をすり抜けているようだ」。モスクワのコンサルティング会社マクロ・アドバイザリーの創業パートナーであるクリス・ウィーファー氏はこう語る。

 いくつかの西側諸国の政府が「かなり見て見ぬ振りをしていることは明らかだ」と同氏は付け加えた。「おおっぴらにやるのでなければ大丈夫、というのが基本的なメッセージなのだと思う」