(英エコノミスト誌 2015年6月13日号)

遅かれ早かれ、次の景気後退は訪れる。先進諸国にはその準備ができていない。

世界に次の景気後退が訪れるのは、もう時間の問題 (c) Can Stock Photo

 この戦いは、長く、辛いものだった。だが、大いに打撃を受けた先進国経済の今の姿をつぶさに見渡してみれば、金融の混乱とデフレに対する戦いは勝利に終わったと宣言しても良い頃合いだ。

 国際通貨基金(IMF)によると、2015年には、2007年以来初めてすべての先進国の経済が拡大する見込みだ。

 先進国の経済成長率は、2010年以来初めて2%を上回り、米国の中央銀行である米連邦準備理事会(FRB)は、これまで最低水準にあった金利を引き上げる可能性が高い。

 しかし、世界経済は延々と続くギリシャの債務問題から中国の不安定な市場に至るまで、いまだにありとあらゆる種類の落とし穴を抱えている。過去に、景気後退に10年間陥らなかった経済はほとんど存在しない。米国の経済が現在の成長局面に入ったのは2009年のことだ。

 「うまく行かなくなる可能性のあるものは必ずそうなる」というソッドの法則に従うならば、遅かれ早かれ、政策立案者は次の景気悪化に直面するはずだ。ここで危険なのは、政府や中央銀行が手持ちの武器をすべて使い果たしてしまったため、次の景気後退と戦う手段がないという点だ。

 矛盾するようだが、このリスクを軽減するには、現時点で金融政策の緩和をもっと長い間続けることを厭わない姿勢が必要である。

不透明な状況からの脱却

 良い知らせは、主に景気回復で先進諸国をリードする米国からやってくる。2015年第1四半期の予想外のマイナス成長は、天候などのさまざまな要因により発生した一過性のものだったと見られている。

 直近のデータを見ると、自動車販売台数は急増し、雇用統計に関しても引き続き堅調な数字が出ていることなどから、経済成長のペースが戻ってきていると考えられる。米国の企業の雇用者数は5月に28万人の純増となった。また、ここへ来てやっと、経営者が必要な労働者を見つけるために、これまでよりも多くの賃金を払わなくてはならない状況になってきている。