(2015年6月9日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

「金の便座見つけてみろ」トルコ大統領、公邸批判の野党を招待

昨年、トルコの首都アンカラ郊外に新築した大統領公邸の内部に立つレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領〔AFPBB News

 レジェップ・タイイップ・エルドアン氏には常に二面性があった。トルコの総選挙でも両面が示された。

 一方には、12年にわたり10回連続で選挙に勝った、才能に溢れ、時として改革派の政治家がいる。

 もう一方には、スルタンになりたいと思っている、傲りと妄想に取りつかれた人物がいる。この人物はトルコ人を家父長の私財――いわゆる「我が国民」――として扱い、この国がエルドアン氏とトルコを貶めているという巨大な陰謀を撃破すると語っていた。

 昨年、首相から大統領に転じたエルドアン氏は、6月7日の総選挙の対象者ではなかった。だが、有権者が放ったメッセージは、同氏に向けられたものだ。

 エルドアン氏率いる公正発展党(AKP)は、憲法を改正し、議院内閣制から大統領が行政権を持つ大統領制へ移行できるだけの絶対多数を得られないどころか、過半数さえも失うことになった。大統領制へ移行すれば、エルドアン氏は既に獲得した以上の権限を得られるはずだった。

色褪せたオーラ

 ネオイスラム主義のAKPは依然、野党勢力よりはるかに優勢だ。近代トルコ共和国の建国の父、ムスタファ・ケマル・アタチュルクから受け継いだ遺産としてトルコを運営してきたケマリストのエリート層から、信心深い田舎者として疎外されてきたアナトリア地域の保守派層は、自分たちを受け入れてくれたのがエルドアン氏だったことを知っている。新しい学校、道路、空港、そして尊厳の中にそれがはっきり見て取れる。

 エルドアンの政治集会は復古的だ。同氏は今なお、すべての政敵より高くそびえたっている。しかし、その後光は褪せた。トルコ国民はエルドアン氏の思い上がった個人的野心に「ノー」を突き付けた。