(2015年6月1日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

EUに残るべきか去るべきか、2017年までに英国で国民投票へ

英国は2017年までにEU加盟継続の是非を問う国民投票を実施する〔AFPBB News

 欧州連合(EU)にはなぜ条約の改定が必要なのか。これには非常に重要な理由が2つある。1つはユーロ圏の修繕であり、もう1つはEUと英国の関係修復だ。この2つで言うなら、ユーロ圏の修繕の方が難しい。しかし、どちらも単独で取り組むことはできない。EUが条約改定という大仕事を短期間に2件続けてやり抜くことはないからだ。

 ユーロ圏で修繕が必要な部分は、世界金融危機のころから変わっていない。

 ユーロ圏は次の銀行危機がやって来る前に、いざという時に銀行を財政資金で支える適切な仕組み(バックストップ)を構築しておかねばならないのだ。

 現在の銀行同盟――そう呼びたければの話だが――には、一元的な銀行監督制度と、銀行破綻処理のための共通の法的枠組みが備わっている。しかし重要なことに、銀行はまだ母国の法の下で運営される国レベルの組織にとどまっている。

 この銀行同盟を適切なものにするには、一元的な法的枠組み、一元的な財政コミットメント、そして特に一元的な破綻処理法が必要になるだろう。そしてこの銀行同盟は、財政同盟の核を構成することになるだろう。加盟国は恐らく、ほかの政策分野――例えば、共通の雇用保険基金など――もここに取り込みたいと考えるようになるだろう。

キャメロン首相の主張にも一理あるが・・・

 ユーロ圏の統合が進めば進むほど、英国のようにユーロを導入していないEU加盟国にとってこの問題は大きなものとなる。この対立は、既存の条約では想定されていなかった。デビッド・キャメロン英首相の不満のリストに筆者は100%同意するわけではないが、今日の状況を考えると、首相の要求の中には完全に筋の通ったものもある。

 まず、EU条約(リスボン条約)には、EUの通貨はユーロであると明記されている。しかも、何の留保条件もつけられていない。つまり、英国とデンマークのユーロ不参加が恒久的な事態になり得ることは想定されていなかったのだ。