(2015年5月22日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

ロシア戦勝70年、モスクワで大規模祝賀行進 プーチン大統領も

5月9日、第2次世界大戦で戦った父親の肖像写真を掲げ、旧ソ連の対ドイツ戦勝70年を記念するモスクワ市内の祝賀行進に参加するウラジミール・プーチン大統領〔AFPBB News

 昨年夏、ロシアがウクライナでの戦闘に巻き込まれると、オルガ・タラレイさん(40歳)は長年の勤務先であるエリクソン社内でストックホルムに転勤し、故郷モスクワの政治状況から逃れるチャンスに飛びついた。

 「大統領が何をやっても、ロシアではほとんど誰も抗議しません。この先予想できる限り、変化が起きる可能性は全くないと思います」とタラレイさんは言う。

 だが、イリーナ・フォミナさん(35歳)にとっては、昨年の出来事は正反対の衝動を呼び覚ました。

 香港育ちで複数の外国語を話し、イタリア家具の輸入業者でモスクワ在勤の幹部を務めるフォミナさんは、国外でロシアに対する認識が変わる様子を見て、計画していたオーストラリア移住を延期することにした。

 「私は(ロシア大統領のウラジーミル・)プーチンを信頼しているし、彼がロシアのための何らかのビジョンを持っていると思っています」と彼女は言う。「外国へ行って、絶えず自分の信念を擁護しなければならない立場には置かれたくありません」

国外移住に対する考えが真っ二つ

 似たような社会経済的バックグラウンドと学歴を持つタラレイさんとフォミナさんがロシアのイデオロギーの分布の反対側に立ち、自身の将来について相反する見解を持つようになったことは、クリミア併合から1年以上経った今、複雑で次第に激化するロシアの都市部中間層の分裂を浮き彫りにしている。

 欧米との関係が悪化し続ける中、統計と経験的な事例は、ロシアを去る人が以前より増えていることを示している。だが、去る人がいる一方で、ロシア愛国主義の新たな波に鼓舞され、国内で経済危機を乗り切ることを選ぶ人もいる。

 「昨年プロパガンダで始まった状況と反ウクライナのレトリック、そして何より重要なことにクリミア併合が中間層を分裂させた」。尊敬されているロシアの世論調査機関レバダ・センターのレフ・グドコフ所長はこう語る。「プーチンを支持する人の割合が上昇し、プーチンを支持しない人の割合が低下した」