(2015年5月19日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

オバマ大統領、貿易促進権限を求める 一般教書演説

バラク・オバマ大統領はTPP締結に必要なファストトラック権限を求め、米議会と戦っている〔AFPBB News

 バラク・オバマ米大統領はなぜ、環太平洋経済連携協定(TPP)締結にこれほど必死になっているのだろうか。長ったらしい公式見解の答えは、大統領はTPPが太平洋の主要経済国12カ国間の障壁を取り壊し、ひいては一層の繁栄をもたらすと考えている、というものだ。短い本当の答えは、中国である。

 TPPに関する極めて重要な事実は、これが米国、日本、その他10カ国の環太平洋諸国を含むが、中国は除外する貿易協定だということだ。

 TPPを取り巻くワシントンの議論の大半は、貿易交渉が投げかけるありきたりな議論――つまり、農家、通貨、知的財産に関する議論だ。だが、オバマ氏と日本の安倍晋三首相の根本的な動機は、戦略的なものだ。

 しかし、日米両政府にとっては残念なことに、TPPは、たとえ実現したとしても、TPPに託されたすべての地政学的な期待を正当化するほど大きな意義のあるステップではない。

日米両国の戦略的な動機

 TPPの背後にある戦略的ロジックについて議論するのは難しかった。なぜなら、最近まで、米国は中国を除外する理由について率直ではなかったからだ。公式見解は、中国経済はとにかく、参加に値するほど開放的ではない、というものだ。

 だが、数週間前、オバマ氏はもう少しでTPPが貿易よりはるかに大きな意味を持つことを認めるところだった。

 米ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙に対し、TPP締結が重要な理由として「もし我々がルールを作成しなければ、中国がルールを作成する・・・米国は締め出されることになる・・・中国が自国の規模を利用して地域の国々を力で従わせることを米国は望んでいない」と語ったのだ。