(英エコノミスト誌 2015年5月16日号)

中国は食料自給の維持に向け努力をしているが、コストが拡大している。

文化の違いは栽培する穀物が影響?研究

中国南部・広西チワン族自治区陽朔県で、稲刈りをする女性〔AFPBB News

 中国の農業労働者の賃金がここ5年で高騰するのに伴い、中国南部のサトウキビ生産者は、国境を越えたベトナムで人手を探すようになった。彼らは冬の収穫期を中心に、畑仕事をするベトナム人労働者を雇った。賃金は中国人労働者のほぼ4分の3だ。

 こうしたベトナム人は不法移民だが、地方政府当局は見て見ぬふりをしていた。

 広西チワン族自治区にある崇左市は、カルスト地形の丘に抱かれた赤土の畑にサトウキビが育つ中国の「砂糖の都」だ。

 この崇左市には、毎年およそ5万人のベトナム人が流れこんでいた。

 だが、最近のベトナムとの政治的緊張により、中国はそうした出稼ぎ労働者を締め出し始めている。サトウキビ生産者にとって、その影響は大きい。例えるなら、カリフォルニアの果樹園からメキシコ人労働者が突然消えたようなものだ。

 この打撃がなくても、崇左の農家は、安い輸入品との競争により、深刻な経営難に陥って当然な状況にあった。だが、国内の砂糖産業のてこ入れを目指す中国政府の取り組みのおかげで、どうにか帳尻を合わせることができていた。

農家を破綻から守る手厚い措置

 中国政府は砂糖の輸入承認を遅らせ、割高な国産の砂糖を購入して国の砂糖備蓄を膨らませている。採算の合わない農家がサトウキビの栽培を続けられるよう、北京の政府当局者は、補助金を直接交付する制度を検討している。崇左は衰退するのを許されないのだ。

 地方政府はベトナム人労働者の流入を阻止する一方で、「スイートローン」の提供を始めている。そうした戦術に頼るケースが増えているが、これは砂糖に限らず、中国の農業生産全体に広がる不調を示す症状だ。コストは上昇し、収穫量は伸び悩んでいる。政府は支援をこれまで以上に強化し、農家を破綻から守ろうとしている。