(2015年5月15日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

ユーロ「圏外」を喜ぶべきは英国か?

欧州の地図の上で、ユーロ硬貨に囲まれて立つ英ポンド硬貨〔AFPBB News

 近い将来、英国の欧州との関係を表すことになるだろう大騒ぎの中で、デビッド・キャメロン氏率いる保守党内の「Brexit(ブレグジット)」の旗手たちは、貴重な切り札を握っている。

 首相が約束した再交渉の避けられない事実は、キャメロン氏は欧州連合(EU)というクラブの基本ルールを書き替えることはできない、ということだ。

 改革の約束は可能だ。1つか2つの特別協定も、まあ、あり得るだろう。だが、かなりの度合いの主権の奪還は絶対にあり得ない。

 EU懐疑派はこの単純な事実をよく理解している。彼らが、ほとんど無邪気に、自分たちはただ単に国境と福祉政策に関する権限を自国議会に返すよう求めているだけと言う時、それがうかがえる。

 これはEU懐疑派があらゆる取引に用いるテストだ――キャメロン氏がそのテストに落第することを確信してのことだ。

 仮に首相が様々な譲歩を与えられてブリュッセルから戻ったとしても、EUの一連の条約にプールされた主権を取り戻すことはできないのだ。

EU支持派の重大な過ち

 EU支持派もそれを承知しているが、知らないふりをしている。代わりに彼らは、大半の英国民はキャメロン氏が「改革されたEU」と呼ぶものにとどまることを支持しているという世論調査の結果に目を向け、自分たちの考えを明かさずにいる。

 アジャンクールの戦いとワーテルローの戦いでの勝利を記念する節目の年に、政府と結託して大陸諸国に対する新たな大勝利を宣言するのも悪くない、というわけだ。