(2015年5月13日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

9月の米貿易赤字4.4%減、輸入が過去最大の落ち込み

オバマ政権は太平洋と大西洋の大貿易圏の中心に米国を位置づけようとしている〔AFPBB News

 米国を中心とするプルリ(複数国間)の通商協定の提案は歓迎すべきものなのだろうか。これは大きな問題である。世界貿易の自由化は重要な成果になると考える人にとっては特にそうだ。そして、これについては異論も多く出ている。

 2001年9月11日のテロ攻撃のすぐ後に始まった「ドーハ・ラウンド」と呼ばれるマルチ(多国間)の交渉が失敗に終わって以来、世界の通商政策の焦点はパートナーを数カ国に限定したプルリの協定に移っている。

 最も重要なのは米国主導のもの、すなわち環太平洋経済連携協定(TPP)と環大西洋貿易投資連携協定(TTIP)だ。

 米大統領経済諮問委員会(CEA)の調査報告が記しているように、オバマ政権の通商政策は「世界経済の3分の2近く、および米国のモノの貿易のほぼ65%をカバーする統合された貿易圏の中心に」米国を位置づけることを目指している。

米国主導のTPPとTTIPの狙い

 TPPは11カ国との交渉である。その中で最も重要なのは日本だ。米国とこの11カ国を足し合わせれば、世界全体の国内総生産(GDP)に占める割合は36%に達する。世界の人口に占める割合は11%で、世界のモノの貿易におけるシェアは約3分の1となる。

 一方、TTIPの交渉は米国と欧州連合(EU)との間で行われている。米国とEUを足し合わせれば、世界全体のGDPに占める割合は46%、世界のモノの貿易におけるシェアは28%にそれぞれ達する。これらの交渉に含まれていない主要な貿易相手国と言えば、それはもちろん、中国だ。

 TPP交渉に参加している国の中には、モノの輸入に高い障壁をまだ設けているところがある。CEAは、マレーシアとベトナムの関税が比較的高いことと、日本が農業を保護していることを指摘している。また、TPPのパートナーやEUはサービスの輸入に対し米国よりも高い障壁を設けていると論じている。