インドネシアの製紙会社APPが保有する熱帯林。6頭のアジアゾウが暮らしている(筆者撮影)

 東南アジアは、いま世界で最も急速に森林が失われている地域である。年間で日本の四国1個分の熱帯林が消失していると推定されている。その結果、大気中に二酸化炭素が放出され、多くの野生生物の生息地が失われている。

 そしてこの急激な熱帯林消失に深く関与しているのが、実は私たち日本人だ。私たちが大量に消費しているコピー用紙、カップ麺、自動車のタイヤなどは、熱帯林の犠牲の上に生産されている。この事実を紹介しながら、地球環境を守るために私たちが取り組むべき課題について考えてみたい。

スマトラ島の森林率は20年で約半分に

 私はこの記事を、スマトラ島の上空を飛ぶ航空機内で書いている。眼下に広がるのは、広大な熱帯雨林・・・ではない。そんなものはもはや存在しない。眼下に広がるのは、広大なアブラヤシ農園とアカシアやユーカリなどの広大な植林地だ。熱帯雨林はごく限られた保護区や、アクセスが悪い一部の場所にしか残っていない。スマトラ島の森林率は、1985年の57%から2007年の30%へと大きく低下した。私が訪問したリアウ州では、この22年間で実に89%の森林が失われた。

 これらの数字を知ってはいたが、実際にスマトラ島に降り立って、地上を車で移動してみると、いかに森がないかを痛いほど実感できた。