(2015年4月24日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

タイ軍政、W杯無料放送で国内に「幸福取り戻す」

軍事クーデターを率いてタイの実権を掌握したプラユット・チャンオチャ暫定首相〔AFPBB News

 政治家の評価は世界の多くの地域でかなり低いが、タイの議会のメンバー候補について少し考えてみてほしい。

 タイの軍事指導者たちが現在検討している憲法草案では、新設される国民道徳議会は、行いの悪い人間と見なされた議員を職務から追放することができる。

 議会入りを果たした人は、許可制の下で働くことになる。議員は「政治的な人気を築く」が、結局、「長期的に国民経済(の利益)や公共に害を及ぼす」可能性のある法律を可決することを禁じられる。

 東南アジア第2の経済大国の未来に関する全315項目の青写真で提案された民選の国民代表の権限に対するこうした制限は、馬鹿げているように聞こえるかもしれない。

 だが、ある評論家が「父親が一番分かっている」政府と名づけたものを確立しようとする軍事政権とその仲間の取り組みについて、愉快なところは何もない。こうした取り組みは、社会的、政治的、経済的な代償がどんなものであれ、将校とその官吏らが昨年5月のクーデターで掌握した国を作り変えようとする大きな努力の一環だ。

リークされた新憲法の草案

 現在流布されているリークされた文書は、軍事政権が自分たちの抱くタイのビジョンを現実に変えるために使う多くの組織の1つ、憲法起草委員会がまとめたものだ。この草案は過去1週間で、軍部が選んだ国家改革評議会に提出された。

 草案は国民投票にかけられるかもしれないし、かけられないかもしれない。いずれにせよ、軍部はこれ――あるいは、この草案に近いもの――を法制化する決意を固めているように見える。

 一連の提案は各方面の政治家と一部のアナリストから控えめな批判を呼んだが、抗議運動と表現の自由に対する軍事政権の取り締まりが反対意見と議論を封じ込めた。草案は大規模政党を犠牲にして、官僚と軍部、政治任用官の権限を確立、拡大するための徹底した措置を提案している。

 10年前は全面的に民選だった上院は、全200議席のうち77議席だけを有権者に選ばせることになる。しかも、その議席でさえ、選抜された候補によって埋められる。首相は今後、選挙で選ばれた政治家である必要はなくなる。