(2015年4月22日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

アテネとヒルトンホテル、富裕層に人気

ギリシャ危機に関する「神話」が解決を妨げている(写真はアテネ)〔AFPBB News

 ギリシャの叙事詩が続いている。自分は神話にしがみついているのだということに当事者が気づかない限り、良い終わり方をすることはないだろう。以下に神話を6つ挙げる。いずれも、問題解決を妨げる知的、感情的な障害をもたらしているものだ。

■ギリシャの離脱はユーロ圏のためになる

 「この小うるさい司祭をわしから遠ざけてくれる者はおらぬか」。これはイングランド王のヘンリー2世がトマス・ベケット大司教について口にしたとされている問いだ。

 ドイツのヴォルフガング・ショイブレ財務相はギリシャの交渉相手に対し、全く同じ思いを抱いているに違いない。

 しかし、このイングランド王の願いはかなえられたものの、災いをもたらすこととなった。もしギリシャがユーロ圏を離脱すれば、同様な展開になる公算が大きい。

 確かに、離脱がもたらす悲惨な影響にギリシャが苦しむことになれば、欧州各地のポピュリストによる政治運動はその分効果的でなくなるだろう。だが、ユーロ圏への参加は取り消しできないものではなくなってしまう。

 そうなれば今後、危機が起きるたびに、市場を不安定にする憶測が生じることになりかねない。

■ギリシャの離脱はギリシャ自身のためになる

 ギリシャが弱い新ドラクマ通貨を導入すれば、痛みを感じることなく繁栄への道をたどることができると考えている人が多い。だがそれが正しいのは、国際的な競争力を持つ財・サービスの生産を容易に増やせる場合に限られる。ギリシャには、そういう力はない。

 そして、離脱直後には為替管理、デフォルト(債務不履行)、外国への信用供与の停止、そして政治の混乱の拡大などが引き起こされる公算が大きい。安定した通貨には一定の価値がある。うまく運営されていない国では特にそうだ。ユーロを捨てることは代償をもたらす。