(2015年4月14日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

独フォルクスワーゲン、組立工場の自動車収納タワーを公開

独フォルクスワーゲンのボルフスブルク工場にある自動車収納タワー〔AFPBB News

 フェルディナント・ピエヒ氏のように企業版の窓外投擲(とうてき)をやる人は誰もいない。独フォルクスワーゲン(VW)で長年会長を務めているピエヒ氏は、ほんの二言三言の慎重に選んだ言葉で多くの最高幹部のキャリアを終わらせてきた。

 フランツ・ヨーゼフ・ペフゲン氏は最初に報道を通じてメッセージを受け取った1人だ。

 2001年にピエヒ氏がVWの高級車ブランド、アウディについて「手詰まり感が蔓延している」と語った時のことだ。

 数カ月後、ペフゲン氏はアウディのトップを辞任した。

 そして今、77歳のピエヒ氏は、最も注目を集める意外なターゲットに目を向けた。8年間VWの社長を務め、長年ピエヒ氏を支持してきたマルティン・ヴィンターコーン氏だ。4月10日、ピエヒ氏はデア・シュピーゲル誌に「ヴィンターコーンとは距離を置いている」とだけ語った。

2大株主や従業員代表はヴィンターコーン社長を支持

 ヴィンターコーン氏は長らく、2017年にピエヒ氏の後継者として監査役会長の座を引き継ぐと見られてきたが、今回の発言はその可能性を絶ったようだ。また、ヴィンターコーン氏が来年の契約満了まで社長の座にとどまれるかどうかについても疑問が生じた。

 だが、この一件はピエヒ氏自身と企業統治に関する同氏のひどい実績(かつて子守だった妻を監査役に据えたことなど)、そしてVWとポルシェを取り巻く長いメロドラマに対する懸念を高めることにもなる。

 ヴィンターコーン氏を口撃した直後、ピエヒ氏は孤立しているように見えた。VWの2大株主――合計で議決権の71%を持つ自動車メーカーのポルシェと独ニーダーザクセン州――はピエヒ氏の判断を支持しないと明言した。

 そして監査役会の半数を占める従業員代表のうち、ピエヒ氏を従来支持してきた盟友さえも、ヴィンターコーン氏に対する強い支持を表明した。ヴィンターコーン氏にもピエヒ氏にも明白な後継者はいない。